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JK side
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JK『…指輪?』
ベッドの淵にシンプルな指輪が置いてあることに気づいた。誰のものかはすぐにわかった。
YR『…あぁ、それ、これから取りに来るって』
JK『こんなことして…嫌な女』
シャワーを浴びてきたユラさんに皮肉を言うと、相手の奥さんが鈍すぎるといつものように愚痴を言いはじめた。
YR『あの女、私の存在に気づいてるのか、気づいてないのか、気づいてて知らないふりしてるのか…ほんと嫌になる』
JK『じゃあさっさとやめなよ、』
YR『それは無理』
JK『どうして、』
YR『あの人のこと好きだし』
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片思いの相手は、二つ年上の先輩。
俺が一目惚れして、たまに会って、
そういうことする関係になった。
ユラさんには好きな人がいて、
その好きな人っていうのが既婚者で子持ち。
どうやって知り合ったかまでは知らないけど、
半年くらい関係が続いているらしい。
どうして俺とこういうことするのか、
前に聞いたことあるけど
曖昧な返事しか返って来なかった気がする。
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JK『タバコ、やめなって』
YR『あの人が好きなの、これ』
JK『…典型的な浮気相手の象徴って感じがして笑える』
YR『お子様は黙って』
そう言って重ねられた唇は苦くて、すぐに離した。
JK『だから、俺は嫌いって言ってるじゃん』
YR『ごめんごめん、すぐ忘れちゃうの』
相手にされてないことはわかってる。
この人が見てるのは
あの既婚者で。
指輪の持ち主で。
タバコが好きな人で。
俺じゃない。
JK『…ねぇ、俺と付き合ってよ』
YR『今の関係がちょうどいいよ』
JK『ちょうどいいって何』
YR『きみにもいるでしょ、大切なの』
JK『……好きなのはユラさんだけ』
YR『その言葉、何人の女の子に言ってるんだか』
…そうだった。
言ってる、たしかに言ってる。
YR『ごめん、もう帰って。
そろそろあの人来ちゃうから』
そう言って俺の手から指輪を盗る
YR『こんなもの、なくなればいいのに。
ついでに縛り付けてる紙切れも。』
悲しそうな顔をしているこの人から目が離せない。
あ、そうだ。
寂しさの埋め合わせだ。
先輩にとって俺は、寂しさの埋め合わせでしかない。
JK『…じゃあ、帰る』
YR『ん、またあの子の家に?』
JK『うん』
YR『その子と付き合えばいいのに』
JK『こういう汚いことできないくらい、純粋なの』
YR『……やっぱり、私なんかより大切なんじゃん』
ユラさんが呟いたこの言葉は
小さくてよく聞こえなかった。
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anchun(プロフ) - 本当に面白過ぎます!続きが気になって仕方ないです😭胸がドキドキが止まらないです (2022年3月3日 19時) (レス) id: 487e998396 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - ぬお、、なぜ更新がああああすっごいいいい (2021年5月8日 20時) (レス) id: 6a137e9fb7 (このIDを非表示/違反報告)
_tunputo_(プロフ) - めちゃくちゃ気になるとこで泊まってるぅぅぅうって声出して言ってしまいました。笑 (2021年2月27日 10時) (レス) id: 993cb3d94d (このIDを非表示/違反報告)
ちりちり(プロフ) - この作品が大好きです。 (2020年12月16日 18時) (レス) id: 9e4bd772c5 (このIDを非表示/違反報告)
そわいぬ - この作品1番更新楽しみにしてます。。うう。。( ; ; ) (2020年10月24日 9時) (レス) id: 6e2414b0f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いよ | 作成日時:2018年3月15日 1時