すきなものの食べかた【宮治】

すきなものの食べかた：06 ページ6

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『 うわあ... 』



空を見上げると、
灰色の雲が空を覆ってて、
そこから大量に降り出している大粒の雨。


普段一緒に登下校している友達は
今日は数学の補習をとったとかで一緒に帰れず、
なんだか寂しい気持ちでノロノロと下駄箱まで
来たけど、まさか雨が降っているとは。


今朝は天気予報も見ずに家を飛び出してきたから
傘なんて代物は持っておらず、折りたたみ傘なんて
女子力の高いものも持っていない。


あの子、傘持ってたかな、と
今数学の補習を受けている友達のことを
思い出し、彼女の補習が終わるのを待とうか、
いやでも傘だけのために長い間待つのもな、
走って帰ろうかな、と悩んでたときだった。




「 お、Aや！ 」



聞き慣れた陽気な声が背後からして、
振り返ると、やっぱりと言うべきか
そこには侑がいて、治くんも、いつぞやの
スナくんも一緒にいた。



「 どうせお前のことやから傘忘れたんやろ 」

『 そうだけど、そういう侑はどうなん 』


「 俺？忘れたけど治にいれてもらう 」

『 いやあんたも忘れとるやんけ 』



流石は侑さん、
ふふん、と言った具合に
突っかかってきたくせに、自分も傘忘れてる。
いれてくれる相手がいるだけでデカイ顔するなよ。

隣でやれやれといった具合に
ため息をつく治くん、いつもお疲れ様です
(慣れっこなんだろうけど)

スナくんはどこかボーッと虚空を見つめてる、
この子はよくわからないや、あ、傘持ってる。



「 どうやって帰るん 」

『 んー、走って？ 』


「 風邪ひくやん、あ、
アホは風邪引かへんのやな 」

『 それはあんたやろ 』

「 傘、貸したろか 」




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