影と月 (ページ44)

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「まじで？タカシが？！」

キングサイズのベッドを目の前に

カイが驚きの声を上げる。

「なんで俺やないねん」

「まあまあ、

皆コーイチとの絡みは見飽きたんだって」

半笑いでフォロー(？)するたくちゃんは

明らかに楽しそう。

「うわーAも大変だね」

ペアダンスをするユーキも

あくまで他人事のように笑っている。

何の話かといえば

今回のライブでの新曲披露時

MVではコーイチとの濃い絡みがあったが

それがタカシにすり替えられ、生での絡みとなるという。

「そんなんタカシがオイシイとこ持ってくってことやん！

俺は認めへんからな！」

「まずオイシイと思ってたんだ」

リョウガくんが一言ツッコみ

コーイチが笑いながら「わざわざ言わんでええやん」と言う。

「やだ～、タカシにやにやしてる～」

「は～！にやけてへんし！」

一方でユースケがユーキの背に隠れるようにしてタカシを指差す。

タカシは私から見ても、指摘している頬が既に緩んでいた。

「だからってこの場にベッドって」

“生々しい～！！”

中学生の男子のごとく

リョウガくんを筆頭にざわざわしだす。

冷たい目でそれらを見ていれば

私に気づいたたくちゃんが苦笑した。

「はい、じゃあいろいろ考えますか！ね！」

ユーキも察したらしく声を皆にかけてようやくリハが始まった。

暑くて、着ていたパーカーを脱ごうと部屋の端に行けば

コーイチがつられたように私の隣へ。

「なんでタカシとよろしくすることになってん～」

「言い方やだー」

「はああ」

わざとらしい溜息をついて

私の顔を覗き込んでくる。

「随分と疲れた顔やな」

そう言って頬をつついて

心配そうに笑った。

案外見てくれているんだな、と

不覚にもどきっとした。

「しっかりせえよ～」

「ん」

離れていく彼の背中を見ていれば

その先にいたタカシと目が合った。