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恋は。kwmrさん (悲恋) ページ46

『河村さん』

『河村さーん、、』

いつもそう呼ぶ君の声。いつからだろうか。

始まりは3ヶ月前。図書室で隣の席だった君は、ノートの端に【河村さん。好きです。】と書いた。

両想いだった。嬉しかった。すぐにOKの返事を返した。

それから君は毎日僕のそばにいてくれた。

『河村さん』

透き通るような綺麗な声で君は僕の名前をよぶ。

君が喜ぶ言葉を、僕は知らなかった。

「なんですか」

嫌われたくなくて、面白くないと思われたくなくて。

『...いや、何でもないです!すみません!』

「はい」

そんな事が続いて、あまり彼女とは連絡を取ることが減った。
名前を呼ばれる回数も減った。

自分が彼女を好きという気持ちは、もう自分では分からないぐらい薄れていたのかもしれなかった。

寂しかったけど、これが彼女の幸せなんだろう。そう思っていた。

いつもと同じように家で本を読んでいると、
ピンポーン
インターホンが鳴った。ドアを開けると、そこには少し悲しそうな顔の彼女。

「どうしたんですか」

『へへ、会いに来ちゃいました』

へらっ、といつもとは違う、無理したような笑み。
あの時、気づいておけばこんなことにはならなかったはずだった。

いつもの様に他愛のない会話をして、また無言が始まる。そして君が言葉を繋いで、僕はそれを静かに返す。

『それでねっ!!こんなこと言われたんですよ!!』

「はい」

『ひどいと思いません?!』

「はい」

『...今日はもう帰りますね!!ありがとうございました!!』

一瞬苦しそうな顔をして、バタバタッと玄関の方に出ていく彼女。

引き留めることなんて出来なかった。こんなやつに、そんな権利ない。

その日から、1日も彼女と話すことはなくなった。

連絡を取ることも。

名前を呼ばれることも、なくなった。

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(プロフ) - みるくさん» え〜!!すみません!!お気づきありがとうございます!! (2020年2月17日 23時) (レス) id: 73270576ea (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - すみません。[水着着てみた]の内容にふくらさんverがない…? (2020年2月17日 8時) (レス) id: aa77fddebf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まつりかさん» はい!!ありがとうございます!! (2020年2月13日 23時) (レス) id: 73270576ea (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - 葵さん» 是非よろしくお願いします!頑張ってくださいね! (2020年1月31日 21時) (レス) id: e802cc95c8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まつりかさん» ありがとうございます!!神だなんてそんな、、まだまだ未熟者ですがよろしくお願い致します!! (2020年1月31日 19時) (レス) id: 73270576ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月7日 14時

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