愛されメイドの備忘録 (ページ2)

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甘い時間に甘く癒され・黒ページ2

長テーブルに並べられた豪華な料理。

外から聞こえてきた車の音に私はすぐに玄関へと向かった。

『なんで〜横山くんならさ〜』

『ちょっと黙れ…』

仕事終わりなのに相変わらず元気な丸山くんがどこか疲れきっていた横山くんに絡みながら屋敷へと帰ってきた。

「おかえりなさいませ」

『メイドちゃ〜ん！なぁ聞いてや〜』

「ど…どうしたの？」

いきなり私を見つけては抱き着いてくる丸山くんに翻弄されていると、丸山くん越しに横山さんが私を見つめていた。

『なんかなぁ部下の1人が…』

「そうだ！丸山くん今日は美味しそうなお肉が用意してあったよ？」

『ほんまに？！早く行かな！』

嬉しそうに自室の方へと走って向かっていく丸山くんを見送ると、そっと手渡された鞄。

『今日は肉か』

「はい！とても美味しそうでしたよ？」

鞄を持つと横山さんの隣に並び横山さんのお部屋に向かった。黒色のドアを開ければ私を中に入れる。

上着を預かりハンガーにかけるとふと漂ってきた甘い香水の匂い。その時横山さんが何故こんなに疲れきっているのか分かった。

「お食事の前にお風呂になさいますか？」

『……』

「では……お隣失礼します」

2人がけソファーに座る横山さんの隣に腰掛ければ、そっと頭が肩に置かれた。返答が無くなり動かなくなるのは甘えたいという合図。

言葉に出すのが苦手な横山さんの最大のアピール方法。

「本日もお疲れ様でした」

『ん…』

「とても忙しかったのですか？」

『どうすれば女が近づかなくなんねん』

横山さんはそう言って頭を強く押し付けてくる。ゆっくり優しく頭を撫でてあげると、手が重なった。

「横山さんはとてもイケメンですからね…」

『それお前以外に言われても嬉しくない』

「そ…そうなんですね」

『やから…しんどい』

手を握る横山さんの整えられた髪の毛を勢い良くボサボサにすると、頭を離させた。