子供大人

16話　”かいぶつ”の話 ページ18

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潔《＿＿＿なぁ、蜂楽。やる前に一個聞いて良い？》





現在インカムから流れている音声は、チームZ室内トレーニングフィールド内の音声。声からするにそこにはド深夜にも関わらず潔と蜂楽がいるのだろう。斗亜は早く部屋に戻ってさっさ寝るよう促す為に、デスクの椅子から立ち上がった




そして場所は変わってフィールド内





潔「鬼ごっこの時……お前俺にパスしたじゃん」


蜂「うん」


潔「あれって”俺が吉良君にぶつけると思ったから”って言ってたけどさ……なんでそう思ったの？」





その質問に蜂楽はうーん、と少々首を傾げて考える。そして考えたかと思えば急にボールを蹴り此方側へと駆け出して来た





蜂「俺の中に”かいぶつ”がいるから」





その”かいぶつ”は、彼がサッカーをしている時だけ姿を表すらしい。そして「ゴールを奪え」「もっと踊れ」と彼に語りかける





蜂「でもあの時はさ、俺の中の”かいぶつ”が言ったんだ。潔(アイツ)にパスを渡せって。潔(アイツ)の中にも”かいぶつ”がいるって」





彼曰く、それは直感らしくその声に耳を澄ませてサッカーをする。それだけで、そのかいぶつとやらの声が聞こえるらしい。しかしそんな事一度も経験した事のない潔にとっては到底信じ難い話だ。信じれる方がおかしい最早



だけどあの時、確かに自分でも知らない自分がいた。確実に、あの時自分の中には彼のいうその”かいぶつ”がいた

知りたい。知りたい知りたい





潔「(それが俺の、”青い監獄(ブルーロック)”で生き残る突破口(ヒント)かもしれない…！)」





彼曰く、メッシもC・ロナウドもノエル・ノアも凄い奴は皆々心の中に”かいぶつ”を飼っている。そしてそれがストライカーとしての証なんだと信じている






蜂「だから潔。俺は”青い監獄(ここ)”に来て良かった。潔に出会えたから」






じゃあもっかいね、と言う彼に潔は構える


言っている事は滅茶苦茶だがサッカーは上手い。それに、彼は自分に勇気をくれる





潔が彼の持つボールに向かって走った時、カツ、と誰かの足音が聞こえた





潔「！？」


蜂「ありゃ？あの子は確か……」




『消灯時間過ぎてる。さっさと部屋戻れサッカー野郎共』





入口付近には、参考書片手に壁に凭れて此方を見ている斗亜の姿があった





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