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「じゃあ、他にもあるの?」
「ありますよ」
問い掛けると透くんは、世の中には、どうしようも無いぐらいに苦しんでいる人達がいて、自ら命を絶ってしまう人が多い。その理由は様々だが、そういう人達の手助けになるような事を探せば良いのでは無いかと言った
「僕達は力で人を守ります。でも、その心までは守りきる事は出来ません。もっと言えば、踏みにじってでも前に進みます」
そう言った透くんは探偵とは思えないような感じだった。どこか、父さんに似ているような感じがした
「だから、Aくんにはその人達の心を守るような事をしたら良いと思いますよ」
「俺にそんな事、出来るかな?」
「Aくんには出来ますよ。人の心を大切に出来るAくんになら」
透くんは言いきってくれた
「透くんに言われると凄く自信がつくから嬉しいな」
「そうですか?」
「うん。それに俺みたいな奴を励ましてくれる友達なんて少ないから・・・、いひゃいよ、とおるくん」
言葉の途中で、いきなり両頬を引っ張られた
「みたいなって言いますけど、Aくんは自分を下に見過ぎなんですよ。僕みたいに少しは自信を持ってください。僕は君の事が大好きなんですから」
ね?と透くんは俺の目を真っ直ぐに見詰めて言った
勿論、今まで、友達から大好きなんて言われた事が一切として無いので、段々と顔が熱くなって来るのが分かった
「は、放してっ」
慌てて透くんの手を退けて、ハロを持ち上げて顔を埋めた
「照れてます?」
「う、うるさい・・・っ」
笑っているような口調で訊いて来る透くんに返して、ハロを抱えたまま、畳の上で横になった
「Aくん?」
「・・・友達に、大好きなんて言われた事無いもん」
「そうでしたか。すみません」
「透くん・・・?」
透くんの声が妙に近くて、顔を動かして、壁を見詰めていた目を上に向けた。その先に透くんがいて、俺に覆い被さっているような形になって、俺を見下げていた
「どうしたの?」
「・・・いえ、何も」
離れた透くんは向こうの部屋に行ってしまう
「変な透くん。ハロ、遊ぼ」
体を起こして、透くんが戻って来るまで、ハロと遊ぶ事にしたのだが、後ろにあったお布団に頭を預けて、遊んでいるといつの間にか眠ってしまっていた
「ぅん・・・?」
目を覚ますと部屋の電気は点いていなかったけど、横から少しだけ光が視界に入って来ていた
顔を横に向けると誰かの背中が目に入った
「・・・透くん?」
背中に声を掛けると誰かはこちらを向いた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年10月14日 20時