例えば、俺みたいな小学生がいるとして。２ (ページ21)

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｢哀ちゃんって本当に優しいよね。昴くん｣
｢Aくんもそうですけね｣

そう言った昴くんを見ると少し笑われただけだった

｢あーあ、いつ学校に行けるんだろ｣
｢暫くは行けないでしょうね。･･･学校、行きたいと思えるんですね。あんな事があったのに｣

昴くんは恐らく、俺の目の事を言っているのだろう。それ以前の事も含まれているかもしれないけど

｢そりゃまぁ、行かせてもらってるし、アイツらはもういないし。学校には問題なく行けるよ｣

前の席のアイツも、ずっと前に俺に石をぶつけた奴らも、皆、転校させられた。それがどうしてかは分からない。それ以前に、どうやってあんなに早く転校させられたのかも分かっていない

別にどうでも良いけど

｢そう言えば、学校では貴方の事、何にも言われてないわね｣
｢そうなの？｣
｢ええ。ニュースにも詳しくは報道されていなかったし･･･。貴方が小学生だって事もあるだろうけど、妙ね｣

割りと大事だったのにニュースにはなっていなくて、学校でも噂の一つも立っていないらしくて、ただの病欠扱いにでもなっているのだろうか

それでも、先生には伝わるはず。先生が職員室で話していれば、噂ぐらい立ちそうなんだけど

｢まぁどうでも良いか｣
｢そうね｣
｢ゆっくり休みながら、今後の事でも考える｣

秀一が言ってくれたように、別の方法で透くん達を守る方法を考えようと思った。入院中、ずっと考えていたが、答えは見付からなかった

医者を目指そうと思った事もあったが、退院して気付いた事があった。俺の怪我は思ったよりも酷くて、左肩は激しく動かしてはいけないという前に、たまに動かなくなる

動かなくなって、手に持っている物を落としてしまう。そんな事が一日に何度かあった為、人の命を預かる仕事は出来ない

こんな状態では、やれる事は少ない

入院中に透くんとも話をして考えたけど、答えは出なかった

｢ご飯よー｣
｢はーい｣

母さんに呼ばれて、自室を出た

暫くボーッと考えている間に自室にこもり気味になっていて、学校には行っているが、透くんのいる喫茶店にも昴くんにも会いに行っていなかった

｢大丈夫？｣
｢うん。大丈夫だよ｣
｢あまり考え過ぎないようにね｣
｢考えないと答えは出ないから｣

そう言いながら、椅子に座り、箸を手に取った

｢いただきます｣
｢Aはお父さんに似て真面目ね｣
｢そうかな？｣
｢そうよ。私とは大違い｣

母さんは俺を見ながらクスクスと笑って言った