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「追い掛けて来るし・・・っ」
「一体、何なのよ!!」
「後で説明するから今は走って!!」


とは言うが、哀ちゃんと俺では歩幅が違い過ぎる


「哀ちゃん、ごめん!!」
「ちょ、何!!?」


哀ちゃんの事を抱き上げて走った。どこまで走れるか分からないけど、とにかく逃げるしか無かった

その人影の足元にあったのは間違いなく人だった。目を見開いて動いていなかった。それ以前に、あの人影が上に乗って首を絞めていた


「早く、す、昴くんに知らせないと・・・!!」
「何だって言うの?」
「さっきの人、ヤバかった!!人を殺し、」


抱えている哀ちゃんに言い掛けて、真横からする草むらをかき分ける音に気付いて、横を見ると何かを構えた誰かがいた


「う・・・っ」


なんとかそれを避けて、直撃は免れたが、腕に少し当たってしまう。避けた反動で転けてしまったが、立てない事はない


「大丈夫なの!!?」
「任せて。俺は大丈夫だから」


腕の中に抱えたままの哀ちゃんに言い、立ち上がる。そして、来た道とは全く違う方に、林の奥に走り出した。ここがどこだかは分からないが、逃げ回る方が良い。隠れられる場所があれば、哀ちゃんだけでも

そんな風に思っていた

人影から逃げられたのか、近くに人の気配は無くなっていた。どこか休める場所を探して、ちょっとした木陰に隠れた


「哀ちゃん、大丈夫?」
「・・・ええ、平気よ」
「良かった。少し休ませてね」


流石に走り続けたので、息が上がってしまった。俺の言葉に哀ちゃんが頷いたのを見てから、ふっと息を吐いた


「どこから出られると思う?」


問い掛けても返事が無かったので、自分一人で考える事になった。確か、何かで切りかかられた時に少しだけ血を流してしまったはずだ

それを目印に戻る事が出来たら、そう思った時だった

辺りがいきなり暗くなった

見上げた先には人の形をした影が俺達を見下ろしていた。それを見た俺は考えるよりも先に、抱えていた哀ちゃんを突き飛ばしていた


「ぐ・・・ッ」


突き飛ばした瞬間、人影の手が首を絞めつけた


「あ、いちゃ・・・ッにげ、て・・・ッ」
「でも、」
「はやくッ・・・すば、るくんを、」


そう言っている途中で首を圧迫しているものが消えて、むせ返る。人影は俺を放置して哀ちゃんの方に行こうとする


「ゲホッ、哀ちゃんに触るな!!」


咳き込みながらも、人影に向かって体当たりをした。お陰で、また俺の方に人影は襲い掛かった

人影に押し倒されて、再び首を圧迫されながらも、哀ちゃんの方に視線を向けた

哀ちゃんは意を決したように頷いて、走り出した

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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年10月14日 20時

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