風見さんの新しい部下【男主】 (ページ8)

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｢風見さーん。さっきのお返しです｣
｢ああ、ありがとう｣

嫌な顔せずに俺から缶を受け取った風見さんはプルタブを引いて、それを飲んだ

｢風見さんって甘いの好きです？｣
｢甘いものを飲みたいところだった｣
｢疲れた時のなんとやらってヤツですね。今度はカフェオレ以外の飲み物買って来ます｣

風見さんに気を使わせてしまったらしいので、次からは別のものを買って来よう

｢薫衣はブラックか｣
｢はい。ブラックの無糖が好きなので｣
｢無糖･･･｣
｢飲みます？｣

カフェオレを持っている風見さんに差し出すと、それを受け取り、代わりにカフェオレの缶を貰った

｢流石にカフェオレの後に無糖を飲むと苦いな｣
｢カフェオレも同じです。物凄く甘い｣

カフェオレの缶を風見さんに返し、ブラックの缶を返してもらう。それを飲んで、甘ったるくなった口内を元に戻した

｢俺は次の仕事があるから、お前は終わったから帰って良いぞ｣
｢そうですか？｣

風見さんは資料の整理の次の仕事があるようだが、自分は帰っても良いらしい。定時上がりなんて、なんて良い職場なんだ、と思えるのも今日までだろう

｢じゃあ、お疲れ様です。お先に失礼しますね｣
｢ああ、お疲れ様｣

風見さんと別れて、自分だけの時間になる

自分の車に向かいながら電話を掛ける。少しして繋がったので、目的の人に代わってもらう事にした

｢あ、もしもし？そそ、俺だよ。今から会える？｣

電話向こうの目的の人に訊くと良い返事を貰えたので、今から会いに行く事になった。携帯をしまって、車に乗り込んだ

シートベルトをして、車を動かした。目的地まで車を走らせた

｢すみません。お見舞いに来たんですけど、｣
｢どなたのお見舞いですか？｣

病室が移動したと言っていたので、看護婦さんに病室を訊いて、目的の人の所に足を運んだ。病室の扉をノックして、中に入った

｢やぁ｣

中にいる女性に声を掛けた

｢本当に来てくれたんだ。ありがとう｣
｢今日は特別。調子はどう？｣
｢随分良いよ。もうすぐで退院だって｣
｢そっか。良かった｣

彼女はとある事件に巻き込まれて、入院を余儀なくされた。長い間、昏睡状態にあり、つい最近、目を覚ました。そして、やっとの事で退院出来るらしい

｢退院したら、どこかに二人で行かない？｣
｢良いね。どこに行きたい？｣
｢そうね･･･、良い所、探しておくから、海外とかどう？｣

そんな彼女の願いを聞き入れて頷いた

あまり長居する事も出来ないので、早々に彼女の病室を出た