風見さんの新しい部下【男主】 (ページ42)

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｢って、何で俺が出なきゃならんのだ｣

一人の車内でブツブツ文句を言いながら、FBIの捜査官が乗っている車を仲間と一緒に追い掛けていた

自分は最後尾を走っているのだが、正直に言って、こんな茶番に付き合う気は無い。追い掛けている途中で、車を止めれそうな場所を見付けて、ボンネットに軽く座り、久々の煙草に火を点けた

暫くの間、そこにいると、一台の車が走って来る。それは、俺の目の前で停まった

｢やぁ｣
｢無視されるかと思いましたよ｣

停まった車から声を掛けて来た人に笑って返した

｢薫衣さんにも話があってな｣
｢俺の名前も調査済みって訳ですね。赤井さん｣
｢降谷くんのついでにな｣
｢ついでって酷いですね。これでも優秀な捜査官だったんですよ？｣

そう言いながら、煙草を携帯灰皿に入れて、赤井さんの乗る車に近付いた

｢ちょ、ちょっとシュウ!!?この人は、｣
｢彼も向こうの仲間だが、心配はない。俺の存在を知っている一人だ｣
｢薫衣 Aです。Aくんって気軽に呼んでください。また今度、お茶でも行きましょうね、お姉さん｣

金髪の美人さんにそう言って笑い掛けた

｢Aくん｣
｢赤井さんは呼ばないで。薫衣さんって呼びな｣
｢酷いな｣
｢冗談ですよ。でも、外では山吹と呼んでください。一応、身バレは不利になる条件の一つなので｣

この手の事は誰よりも分かっているから、頼むと赤井さんは頷いて返してくれた

｢さて、そろそろ俺も仲間に合流しないと｣
｢君は俺達がここに戻って来ると分かっていて、群れを離れたのだろう？｣
｢ええ。俺は勝てない勝負はしない主義なので｣

この件は自分達が負ける事は分かっていたので、早々に離脱した。仲間がいない所で赤井さんと話したいとも思っていたから、丁度良かった

｢降谷さんには悪いですけどね。誰にでも噛み付くような人間じゃ無いんですよ、俺は。勝てる相手しか相手にしない｣
｢･･･薫衣くんが本気を出せば、誰にだって勝てるのではないのか？｣
｢やだなぁ、国家権力には勝てませんよ。俺でも。それじゃあ、俺はこの辺で｣

また会いましょう、と赤井さんに別れを告げて、自分の車に乗り込み、仲間の所に向かった。仲間はド派手にやられたようで、車を見ながら嘆いていた

勿論、一人ハグレた俺は怒られた

｢風見さん、今度いつ休日ですか？｣
｢お前に合わせる｣
｢優秀な部下が二人もいなくなったら、降谷さんが困りますよ｣
｢なら、その始末書を片付けてから言え｣

風見さんに切り捨てられて、見詰めるのは始末書と請求書の紙束だった