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「・・・俺には家族がいるんだ」
「家族?」
訊くと相手は頷いて、話を続けた
「その家族を人質に取られて、この仕事を受けた。・・・俺は警察の人間だ」
「なるほど。作戦が失敗に終わった今、家族の命が危ないと」
「そうだ。最初は俺が捕まっても、お互いに黙秘していれば良いという話だった」
しかし、向こうの人間はこの人を裏切り、罪を全てなすり付けた後、家族の命を奪うつもりだという話だ
「口封じはされるでしょうね。貴方が何も家族に話していなくても。失敗した代償とも取れますね」
「お願いだ!!家族を、俺の娘と妻を、助けてくれ・・・ッ」
頭を下げた相手の額は机に当たって、ガンと大きな音が鳴った
「分かりました。対処しましょう。その代わり、貴方には私の協力者になってもらいます」
「家族が助かるなら何でもする」
「良い心掛けです。家族を大切にする人は嫌いじゃないですよ」
相手と契約を取り付けて、取調室を後にした
「良いのか?あんな嘘を言って」
取調室から出て、少し歩いた先で同僚に訊かれた
「嘘って?」
「捕まえた協力者があの人だけせいにしてるっていうヤツ」
「ああ、あれは嘘にはならないから大丈夫。それに、あの人の事は調べてるから何も問題は無い」
あの人を同僚が確保した際に、顔写真を送ってもらっていた
その顔には見覚えがあったから、調べさせてもらった。だから、あの人が警察だという事も、家族がいる事も分かっていた。警察だといっても、日本の警察では無いが
「お前のそういうところ、昔から尊敬するわ」
「そりゃどうも。お前も相変わらずで良かった」
「何を隠そう、お前の相棒だしな」
「よく言うよ」
そう言いながら、次の取り調べを行う為に元協力者の人間の場所に向かった。ソイツには、手加減はしなくて良いだろうと考えながら、取調室に入った
「さてと、取り調べを担当する薫衣です」
「早く帰してくださいよー。俺は何も悪い事してませんよー」
元協力者の男はヘラヘラと笑いながら言ったので、同僚の顔を見た。呆れたような表情で肩を上げる
「そうですか?貴方の罪は以下になります。誘拐に殺人の強要、それから詐欺に恐喝、銃刀法違反、他にも沢山ありますが、どうします?」
「証拠でもあるんですかぁ?」
「ありますよ」
ヘラヘラと笑う男に自分もにこりと笑顔を向けて返した
「貴方の自宅にあるパソコンからいくつものデータが出て来ました。そして、貴方の家族では無い女性と子供も見付かりました」
淡々と述べて行くと、それに合わせて、男の表情も変わって行く
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作成日時:2019年11月3日 21時