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「・・・何はともあれ、俺が何かを言えた義理でも無いけど」
「山吹さん?」
「何でもないよ」
小さく呟いた言葉はおチビくん、コナンくんには聞こえなかったみたいので、無かった事にした
「コナンくんはもう寝たらどう?後は俺が見とくから。子供は夜に成長するんだぞ」
「知ってるよ」
「じゃあ、寝なさい」
「じゃあ、一つだけ訊いても良い?」
コナンくんの質問にどう答えようか悩んだが、この子が寝ると言うなら聞いてあげようと思った
「寝るって約束するならな」
「分かった!!」
笑顔で頷いたコナンくんの質問に答える事になった
「山吹さんって、奥さんとか子供はいる?」
「どうしてそう思ったのかな?」
「僕に優しくしてくれるし、子供の事に関して詳しそうだったから」
「それだけ?」
訊くとコナンくんは首を横に振って、教えてくれた。俺のコナンくんに対する接し方、仕草などがそう思わせたらしい。全く気が付かなかったけれど、他人から見たらそうなるという事か
「それになんだか、僕と話す時だけ雰囲気が柔らかくなるんだ」
「へぇ、初耳。今度から気を付けるよ」
「分かりやすくて助かるのに」
「そう言われたら余計にね」
変な癖を付けて、覚えられても嫌なので、今後は気を付けておこう。特にこの子の前では
「俺に奥さんとかいるって話だったっけ?」
「うん。はぐらかされるかと思った」
「そんな事しないよ。俺にはね、美人なお嫁ちゃんと可愛い娘ちゃんがいるんだ」
自分の携帯を取り出して、写真を選んでそれを表示させて、コナンくんに見せた
「ほら、美人なお嫁ちゃんと可愛い娘ちゃん」
「本当だ。娘さんはいくつ?」
「六歳だよ。凄く可愛いんだ」
写真を見ているコナンくんに笑って答えて、携帯の画面を消した。携帯をポケットにしまい、コナンくんに視線を向ける
「さ、答えたから、寝なさい」
「はーい」
「おやすみ、コナンくん」
「おやすみなさい」
コナンくんがちゃんと寝るのを確認してから、先程まで読んでいた雑誌を再び読もうと思った。だが、流石にずっと月明かりで読むのは目に悪い
そう思い、雑誌を読むのでは無く、窓の外を眺める事にした
「はぁ・・・」
窓枠に肘を置いて、頬杖をつきながら溜め息を吐いた
「・・・何か心配事か?」
「やっぱり起きてましたね。赤井さん」
後ろから聞こえた声に返事をした
「気付いていたか」
「人の呼吸って、案外、分かりやすいものですよ」
「・・・君は優秀な警察官だな」
そんな事を言った赤井さんの方を向いた
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作成日時:2019年11月3日 21時