風見さんの新しい部下【男主】 (ページ11)

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｢喋る気になりました？｣

対象の耳の隣を何度か弾が通り過ぎたところで、問い掛けた

｢こりゃダメだな･･･｣

放心状態の対象を見ながらそう思った

｢銃の怖さも知らない人が悪党なんてやったらダメですよ。お兄さん｣

対象の耳元に近付いて言って、肩を叩いて離れた

その後、風見さんからの連絡で怪しい男の方も拠点を割り出す事に成功し、組織のトップを叩けたそうだ。小さな二つの組織が一日で、トップを失い、後は残党処理だけになった

｢薫衣｣

自分のデスクで報告書をまとめていると声を掛けられた

｢あ、風見さん。お疲れ様です｣
｢お疲れ様。今日は大活躍だったな｣
｢そうですか？｣
｢二つの組織を無力化に成功したんだ。大した活躍だ｣

新人にしては、というおまけが付きそうだが、褒められるのは嬉しいので、黙っておいた

｢だが、対象の男に発砲したというのはどういう事か、説明をしてもらえるか？｣

風見さんにそう言われて、報告書を書いている手が止まった

｢やっぱり問題になりますか？｣
｢問題だ。今回はお前の活躍で組織を無力化出来たから、おとがめは無いが、次は無いぞ｣
｢分かってますよ。それに公安の不祥事なんて、公にしたくないでしょうし、イテッ｣

ふんと鼻を鳴らしながら言うと頭を叩かれた

｢分かっているならやるな｣
｢すみません｣

風見さんの目が本気で怒っているようだったので、すぐに謝って返した

｢･･･それから、対象が怯えたように言っていた。対象を撃った時のお前は人殺しの目をしていた、人を殺した事のある目だったと｣

小さな声で、俺にしか聞こえないような声で風見さんは言った

｢人殺しって、人聞きの悪い。あの人も人殺しですよね？そんな人が言えるような言葉ではありませんよ｣
｢そう、だな･･･｣
｢風見さんも早く報告書でも書いたらどうです？帰るの遅くなりますよ｣

そう言うと、風見さんは頷いて返して、デスクに戻って行った。自分もさっさと終わらせようと思って、報告書を書いていた。とは言っても、全く終わらないのが現実だ

かなり遅い時間になってしまっている。遅くなったついでに始末書も書いておこう。どうせ、明日もここで仕事するのだから、特に帰る理由も無いので、ここで過ごす事にした

それは風見さんも同じようで、室内には俺と風見さん以外、いなくなっていた

その風見さんは、缶コーヒーでも買いに行くのか、どこかに行った。少しすると風見さんが帰って来たらしく、扉の開く音がして、こちらに足音が近付いて来ている