おぼろげ ページ41
◆ ◆ ◆
パチン!と平手打ちしたような音で目が覚めた。まだ覚醒しきっていないまま、ぼんやりと音がした方向を見ると、頬を抑えたさかたんとさかたんを睨むうらた先生がいた。
「お前Aちゃんのこと好きなんだろ?なら幸せにしてやるってくらいの気力じゃないと駄目だろ!悪いことしたって悔やんでるならその分頑張れば良い話だろ、諦めんな!」
「ごめん、弱音吐いて・・・。そうやんな、俺初心忘れとったわ。Aちゃんが幸せくれた分、今度は俺が返さんとって思っとったのに色々あり過ぎて忘れとった」
さかたん・・・。そんな無理に笑わないで。もちろん、さかたんの笑顔が1番好き。でも無理矢理笑われるくらいなら、素直にしんどいとか吐き出して欲しい。私は気づくとさかたんを抱きしめていた。
「Aちゃん!?いつの間に、起きとったん?」
「ごめんなさい、さかたん。色々迷惑かけちゃって」
さかたん呼びに驚いたさかたんの大きな瞳には、みるみるうちに涙が溜まっていく。震えるさかたんの背中を擦りながら、抱きしめる腕の力を強くする。彼も私の背中に腕を回したから、ぐっと2人の距離は縮まった。同じく驚いている浦田先生に質問攻めにあった。
「えっと、まず・・・どこまで記憶戻ったの?」
「実は結構まばらで・・・でも、ここに来てからのことは覚えています。ここに来る前のことをさかたんに話している時の記憶は、靄がかかって思い出せないんですけど。多分、自分のパーソナリティーの部分が思い出せないんだと思います。名字すら出て来ませんもん」
「過去のことなんかどうでも良い、俺のこと思い出してくれたん?」
縋るように聞くさかたん。相当精神的にきつかったんだろうな。ごめんね、今まで思い出せなくて。
「さかたんのことは全部覚えてるよ」
「良かった、良かった・・・!」
余計泣きじゃくり始めた彼はきっと、思い存分泣いた方が良い気がする。あやしながら私はうらた先生の質問に答えた。
「SNSで坂田はAちゃんのこと知ったみたいだけど、それは覚えてるの?」
「それは覚えています。なんでしていたかは忘れちゃったけど。多分、さかたんがそれで元気貰えてたって言ってくれたから覚えてるんだと思います」
今の今まで散々周り道しちゃったけど、これからどうするか決めた。あとはさかたんや先生達が受け入れてくれるかどうかだけど。
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凛月花(プロフ) - けんまおし1016さん» コメントと評価ありがとうございます!もし気に入るのがあればれ他の作品もよろしくお願いします。好き、最高と言ってもらえる作品を書けるようこれからも頑張ります! (2022年10月1日 10時) (レス) id: c0eb9ea164 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - 最っ高でした!とっても好きな作品です!一番右の☆押しときました! (2022年10月1日 8時) (レス) @page44 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
凛月花(プロフ) - かわいい後輩ちゃん@ハロパ神戸さん» 嬉しい感想ありがとうございます!そして、ハロパ神戸楽しんできて下さい!ハロパまでにまたそう言って頂ける作品が書けるよう頑張ります。 (2022年9月24日 17時) (レス) id: 16a1f91fe3 (このIDを非表示/違反報告)
かわいい後輩ちゃん@ハロパ神戸 - 完結おめでとうございます〰!毎度展開に驚いていて更新がある度ワクワクして読んでました♥🔥素敵な作品ありがとうございました!😭 (2022年9月24日 17時) (レス) @page44 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
凛月花(プロフ) - アウラさん» 毎度誤字指摘ありがとうございます!8月入るまでにやりたいなーと思ってる企画がありまして(未遂で終わりそうな気しかしてませんが←)、確かに更新焦ってます。以後気を付けます・・・! (2022年7月2日 20時) (レス) @page19 id: 3ae2aacc59 (このIDを非表示/違反報告)
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