【USSS】腹ぺこ悪魔と甘々ケーキ

熱に浮かされ ページ10

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もう良いや、気にした方が負けだ。無心で堪能していると向かい側に座っていた志麻さんが椅子を隣に持ってきて座った。いきなり何？

「･･･なんですか？」
「ごめん、俺Sやから睨み付けられてもゾクゾクせんから。むしろ生意気な奴泣かしたいって思考になる。ほら、ほっぺたクリームついてる」

性癖暴露かお兄ちゃん面か、どっちかにしてよ。掴みにくい人だなぁ。置かれていたティッシュで右頬を拭いたけど、ティッシュにはクリームなんてついていない。反対側？左頬を拭こうとした手よりも、なんともいえない感覚を左頬に感じたのが先だった。

「そっちじゃなくて、こっち」

舐められた･･･！？左頬にはぬるっとした唾液の感覚が残っている。志麻さんは熱に浮かされたような表情をしていた。その熱を孕んだ瞳を見ると、なんだか私まで熱を移されたのかぽーっと顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。何、この頭のふわふわした感覚･･･。

「なんか香水つけとう？」
「いえ･･･」
「じゃあフェロモンか。強烈過ぎん？」

フェロモン！？自分ではそんな物出してる自覚ないんですけど。自分の体の異変に戸惑っていると、志麻さんに顎を掬われた。すぐ近くに迫る志麻さんの整った顔、まさか･･･！好きでもない人にキスなんて、と頭では思っているのに私は目を閉じていた。最初は触れるだけだったのに、啄まれて、舌を入れられて。いつまでもキスは終わらない。どんどん苦しくなるのに、それすら気持ち良い気がして、拒めなかった。やっと離してくれた時には、お互い息が切れていた。

「もっと･･･！？」
「しまった、なんて顔せんで良えやん。欲望に素直な子、嫌いやないで」

口走った言葉に驚き、手を口に当てると志麻さんに手を退かされ、コツンと額と額をくっつけられた。得意げに笑う顔もかっこよくて、ますます私は熱に浮かされていく。目を閉じた志麻さんの顔が近づき、私も目を閉じるとドコっと鈍い音と、志麻さんの悲鳴が聞こえた。

「いった！おい誰やねん良えとこ邪魔してくれたKYは！」
「4人で決めた約束守れねぇアタオカ変態野郎に言われる筋合いはねぇな」

うらたさん！？どうもうらたさんが志麻さんの頭を殴ったらしい。あんな音がしたんだもん、相当な力で殴ったらしく志麻さんは頭を押さえている。いつの間にか熱も引いていた。良かった、あれ以上好きじゃない人とキスしなくて済んだけどーー

「お前尻軽女なんだな」

また仲悪くなっちゃった･･･。

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