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「お見事」
そう笑ってAは片手を出して自ら自分の番を主張する。そんな気軽なゲームじゃない筈なのに。
残りの弾は三発。三分の二でAが撃たれるにも関わらず、Aはまた容赦なくトリガーを引いた。
「あら、残り二発ね」
不発のまま終わった拳銃が、デス・クィーンの手に渡る。ここで自分が撃たれればAの勝ち。逆に不発ならデス・クィーンの勝ち。
確実に命の行方を握っている拳銃。
デス・クィーンは銃口を額に押し付け、
――ッパァン! バリン!!
Aの後ろのガラスが割れる。ガラスの破片が夜の街に吸い込まれて行く。
銃口は煙を上げ、Aの方に向いていた。
「……これは私の勝ち、かしら?」
「……えぇ、そうです。私は支配人さんの暗殺に失敗した」
「どういうつもり?」
「このまま終わりたくなかっただけです」
煙を上げる拳銃をその場に落とすデス・クィーン。Aは割れた後ろの窓を首だけで見た。
「私、支配人さんの事気に入っちゃった」
「嬉しいわ。それよりいいの? 今の銃声でウチのスタッフが駆け付けて来るけど」
「ですよね〜。さっさと逃げまーーす」
ドタドタとした足音が大きくなる。正面から大人しく帰る事も出来なかろう、とAはスタッフ用の裏口の鍵を開け、手招きする。
「え……いいんですか? 私は貴方の命を狙ったのに」
「手段はどうあれ、皆そのつもりでここに挑んで来るお客様を殺す訳にはいかないでしょう。それに、私死んでないもの」
何か問題? とAが促す。複数人の足音は確実に近付いてきている上に、Aはインカムを所持していない。
有難く、と勝負以外は強かなのか、デス・クィーンは扉を潜る。数歩進んだ所で、赤い髪を翻した。
「また遊びに来ますね」
「勿論よ。勝負なら何時でも受けて立つわ」
早く行きなさい、とAが裏口を閉めたタイミングで、正面の大きな扉が勢い良く開いた。
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camellia(プロフ) - 葵さん» うぐふっ(謎の声)…………有難いお誘い誠に心苦しいけど今回は見送らせていただきます……バチクソに私事なんだけど50作目にこっち名義で新作出せるように諸々準備中なので、現時点で出来かねるのよ……一連が落ち着いたら参加も考えます(震) (2020年11月12日 22時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - camelliaさん» やった〜〜。頑張った甲斐がある(まだ始まったばかり)。一人完成したら公開って形で順番に書かせて頂く予定なので、遅くなるかもしれませんが……! 何に渋ってるかわかんないけど決心付いたらお気軽にお声がけ下さいね笑 (2020年11月12日 22時) (レス) id: f205b8954e (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - 好きです(唐突な告白) いや企画の時点でも相当好きでしたけど!!一気読みして心撃ち抜かれました本当に……。募集企画に興味湧いてきたかもしれない。ほんの手伝いの分際でなんですが彼女の子のお話も心待ちにしております(小声) (2020年11月11日 21時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作者ホームページ:https://twpf.jp/uranai_aoi
作成日時:2020年11月11日 17時