７８話 分かってた [相葉] ページ4
懐中時計はまるで息するみたく
ぼんやり光って、元に戻ってを繰り返す。
ううん。大ちゃんの呼吸に合わせて光ってる。
掟を破って死亡リストに書かれた人を守るなんてしたことないから
俺もこの先何がどうなるのか知らない。
翔ちゃんの名前は大ちゃんの死神手帳にあって
分からないけど、天界の力が大ちゃんにはたらいてるのかな。
泣きながらそれに抗おうとする大ちゃん。
誰が動くよりも先に、翔ちゃんが近づいていって手を差し出した。
翔「もういいよ。智くん。俺大丈夫だから」
智「…」
翔「帰ろうか」
ペチン。と大ちゃんがその手を叩き払う。
智「…良くねえし。可笑しいじゃんか。だって俺…翔くん…帰りたかったのは、翔くんの方で…だって…」
翔「…(笑)分かんないけど、もう…」
智「もうって何だよ！ヤだよ。ヤダし。ぜってー帰んない」
翔「どっちなの」
智「そんな顔して…笑うなや。なんで…」
大ちゃんの言ってることは
めちゃくちゃなようで、俺にはでも、すごくよく分かった。
ずっと帰りたそうだったのは翔ちゃんの方で
大ちゃんはそのことに焦ってたはずで。
でも
天界は俺たちに、そんなに自由な意思は与えてくれないみたい。
翔ちゃんを守りたいと思っても
あるべき死へと導く役目を逃れられない。
ねえ大ちゃん。分かってたんでしょ？
俺たちは死神で、翔ちゃんは人間で。
どんなに一緒にいて、何でも話せて、友達みたいでも…
やっぱりきっと、違うって。
俺たちには、誰も救えないって。
ニノ「…翔ちゃんは、どっち？」
翔「…ん？」
呟くように聞いたニノが、ふっと翔ちゃんを見上げた。
ニノ「どうしたいの？」
翔「どうしたいも何も…」
下を向いたまま、大ちゃんが翔ちゃんのシャツの裾を掴んだ。
笑いながら諭すように、その手に手を重ねる翔ちゃん。
翔「帰ろうよ。家で皆でゲームでもしてさ。まだ松潤のポップコーン食ってねえし」
潤「でも……うん」
ニノ「けど翔ちゃん…」
翔「帰ろう」
翔ちゃんがもう一度、はっきりと口にする。
だから言おうとした言葉を呑み込んだニノ。
大ちゃんが顔を上げて、
じっと見つめる中
翔「そうしようよ。…智くん」
翔ちゃんはいつもみたいに笑った。
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あかり - ぜひ見させていただきます！！ (2015年8月9日 21時) (
レス) id: 1ac7fc90e9 (このIDを非表示/違反報告)
ふみちゃん(プロフ) - あかりさん» そう言っていただけると本当に嬉しいです！よければ他の作品もよろしくお願いします。 (2015年8月9日 20時) (レス) id: f36ed0f5f4 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - とてもおもしろかったです！完結おめでとうございます((o(*>ω<*)o)) (2015年8月5日 21時) (レス) id: 1ac7fc90e9 (このIDを非表示/違反報告)
ふみちゃん(プロフ) - 花夜さん» 花夜さん、ありがとうございます。今後の励みになります♪ (2015年7月30日 22時) (レス) id: f36ed0f5f4 (このIDを非表示/違反報告)
花夜 - 凄く面白いです!!! (2015年7月27日 15時) (レス) id: 7e159a367e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふみちゃん | 作成日時：2015年5月20日 17時
