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【ノルソル過去編】善良な悪人達の話※微グロ注意 ページ5

その顔は幾度となく殴られたのであろう。
腫れ上がり、赤黒く変色していた。
死装束代わりであろう白い襦袢は所々血で染まり、覗く手足には鞭打ちによる傷跡が痛々しく残っていた。
歩く度にその傷から出血するのであろう…ポタポタと地面を汚す赤い雫。
それは想像を絶する拷 問を物語っていた。

『大丈夫。大丈夫だから』

二日前。そう言ってノルカとソルカに穏やかな笑みを見せたヤシ。
しかし、今現在彼等の目に映るのは…変わり果てた父の姿だった。

今にも倒れ、絶命しそうな程弱りきったヤシを
軍人が引き摺るように囲いの中心へと連れてくる。
ワーワーと騒ぐ周りの声は、今から行われる宴を盛り立てるかのように大きくなった。

「と、父様……。父様ァア!!!」

「親父っ……親父ィ!!!!」

そんな周りの歓声を破るように。声を張り上げたノルカとソルカがヤシを呼ぶ。
その声に気づいたのか、否か。ヤシが二人の方へと視線を上げた。


「これより!!!先日宮殿内で起こった同族殺しの主犯。ヤシの処刑を執行する!!同族殺しは我々の掲げた掟に背く、第一級犯罪である!!」

声を張り上げ、ヤシの罪状が如何に重罪かを述べ始めたのはオキナであった。
つらつらと読み上げられるその内容は、二人の耳には全く入らず。
ただ自分達の視線の先に居るヤシの姿だけを映す。

「よって、この者を……車裂に処す!!!」

周りの民衆がどっと湧いた。
車裂……すなわち八つ裂きの刑は最も残酷な刑のひとつであるのと同時に、悪趣味な貴族達にとっては最も見世物として完成度の高いものだ。

ヤシの四肢に、軍人が淡々と縄を巻いてゆく。

ノルカとソルカはその淡々と進む処刑の段階を、揺れる瞳に映していた。

「や、めろ。……やめろよ」

鉄柵を強く握りしめ、その僅かな隙間にねじ込むかのように自身を押し付けたノルカが震える声で紡ぐ。

「やめろ。やめてくれよ……やめろよォ!!」

そんな言葉が届くはずもなく。全ての準備は整った。
オキナが片腕を高く掲げ、引け!!という掛け声とともに振り下ろす。
周りは、まるで競技を観戦するかのように「やれ!!」「引け!!」等と野次を飛ばした。

四頭の馬が一気にそれぞれの方向へ走り出した。

「やめろよぉおおおお!!!!!!親父ィイイイーーッ!!!!!」





掠れたノルカの声は、周りの雑音にかき消された。
ソルカは目の前で起こったその惨状に、ガクガクと震えが止まらず。声すら上げることが出来なかった。

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story101(プロフ) - はい!ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ!お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお!そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ!!←怖い有難うございます!これからもよろしくお願いします(。_。*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい!もちろんです!応援してます!! (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ!おおっ!流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス・:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー!これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年6月5日 4時

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