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【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ30

「あ、……あぁ……!!」

オキナは愕然としていた。声にならない声を喉奥から絞り出し、目の前の惨状に呼吸すらままならなくなっていた。それもそのはず、ノルカに向かい果敢に挑んでいった自分の部下達がものの一瞬で骸と化したのだから。

ある者は、炎の蜷局に巻かれ
ある者は、地面から吹き出した灼熱のマグマに溶かされ…。
惨たらしい姿をオキナの目の前に晒していた。

負け知らずだったはずのオキナ率いる国軍はほぼ壊滅と言っても過言ではなかった。

敗北。しかも幼いノルカ一人に…。その敗北感が、オキナの膝を地につけさせる。
そんな彼にゆらゆらと近づいてきたのは、最早理性などないであろうノルカだった。

金色の双眸は、まるで飢えたケモノのようにギラギラと……。
戦意喪失し、膝をつくオキナを餌と認識したかのように捕らえている。


無情に、スラリとノルカの手がオキナに伸ばされた。
軍人として死ぬのなら、勇敢に最期まで抗え。いつだったか…オキナはまだ自分が新兵だった頃に言われた言葉を思い出し玉砕覚悟で薙刀を構え直す。

ノルカを襲った異変はその直後に訪れた。
先程までマグマのように滾っていた全身の血が、今度は氷のように冷えてきたのだ。氷海の濁流の如く。それはノルカの全身をくまなく巡るが、相反して体温は溶けてしまいそうなほど高温に魘されているのだ。

ぶわり。と額に汗がにじむ。それはダラダラと垂れ落ちてポタポタと地面に振った。
ノルカは一変、オキナに伸ばした手をすぐさま引き自分を抱く。
ガチガチと震えながら、どさりと力なく崩れ落ち蹲った。
オキナはそんなノルカに呆気に取られたが、これは好機と薙刀をノルカ目掛けて振り下ろす。

が……しかし。


「な、ぁ……がァ……」

オキナの薙刀が、ノルカを襲う事は無かった。
何故ならば薙刀の刀身からそれを持つオキナの半身が……瞬時に氷ついたからだ。
ノルカは朦朧とする意識の中、まるで生ける氷像のような様のオキナを見上げた。
自分の能力とは相反するその能力…。
瞬間、自分を呼ぶソルカの、今にも泣き出しそうな声が聞こえた。

「ノルカ!!ッ……ノルカぁ!!」

「……おぅ」

「ッごめん、僕……僕っ!!」

「……泣くな、よ。馬鹿」

ポロポロ落ちてくるノルカの涙が、ノルカの頬に落ちてきた。
その涙は雪の様に冷たく、ギュッと自分の手を握ってくるソルカの手は氷の様で。

ノルカは、俺達は何処までも正反対な双子なんだ。とその手を握り返した。

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story101(プロフ) - はい!ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ!お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお!そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ!!←怖い有難うございます!これからもよろしくお願いします(。_。*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい!もちろんです!応援してます!! (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ!おおっ!流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス・:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー!これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年6月5日 4時

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