【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ27
そこには、小さな体を更に縮こませ。ガクガクと恐怖に震えながら物陰に隠れるラビィの姿があった。
しかしそんなラビィに伸びたのは、軍人の慈悲無き手。長い耳を乱暴に掴まれ、グイッと持ち上げられたラビィの体が宙に揺れる。
「……ラ、ラビィ！！」
ノルカが咄嗟に呼んだその名前に、ラビィは目を見開いてそちらに怯え切った赤い瞳を向けた。
視線がかち合う瞬間と同時だった。
喋れないラビィの唇が、フルフルと開き言葉を象ってゆく。
た す け て。
ゆっくりと、確かに。声音こそ聞こえないそれは聴覚ではなく二人の視覚に訴えた。
ノルカの瞳に揺れたそれ、次の瞬間。血液が沸騰するかのような感覚を覚える。
見開かれた目はそれを焼き付け、呼吸は浅くそれでいて乾いていた。
ドクドクと脈打つ心臓は、今までにない程速く。今にも突き破りそうな程に躍動する。
「隊長！例の船を発見いたしました！」
高見の見物をしていたオキナに部下が駆け寄った。
その報告にオキナは御苦労。と労いの言葉の後に続ける。
「そうか。船は押収品として月都に輸送する。手の空いたものは船の輸送準備を開始せよ」
「ハッ！」
オキナが再び凄惨な情景へ視線を戻したのと同時だった。
「っああ！？なんだこのガキィ！！！」
それはノルカを押さえつけていた軍人の声だった。オキナが何事かとそちらを振り向けば、その軍人がノルカから手を離し後ずさりしているのが見える。
「何をしている！！」
「あ、……た、隊長！！このガキの体が」
そこまで言ったところで、軍人の体がビクリと跳ねた。
額には大量の冷や汗が吹き出ており、顔色は血の気が引いたように真っ青だ。
そんな軍人の腕をがっしり掴んでいたのは……ノルカ。
「な、何をしている！？何故手を離した！！おい！聞いているのか！？」
「あ、あ、ぁ。……た、たいちょ、ぅうう」
オキナの問いかけにも答えようとせず、軍人はガタガタと震え始める。その尋常じゃない汗と震えにオキナはただならぬ何かを感じ取った。
ノルカに片手のみを掴まれている軍人はオキナに向かって手を伸ばして来る。が、決してノルカを振り払いそれ以上は近づいてこないのだ。その異様な様はオキナに一種の恐怖を与え、数歩後退する。
「……た、いちょぉ、おお」
「な、何をしている！早くノルカを」
「……あ、つぃい、あづィいい！！！」
「！？」
軍人が断末魔のような絶叫を上げたと同時に、辺りは凄まじい熱気に包まれた。
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story101(プロフ) - はい！ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (
レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ！お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお！そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ！！←怖い有難うございます！これからもよろしくお願いします(｡_｡*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい！もちろんです！応援してます！！ (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ！おおっ！流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス･:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー！これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
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