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【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ3

ツクヨミ様、女帝様。そう呼ばれ讃えられるその存在の真髄は
暴君。それそのものであった。

彼女はこれまで、自分の意に沿わない者を
その能力、そしてその絶対的権力で消し去って来たのだ。
しかし、自分の意に沿う者達には打って変わって手厚い措置を施す。
ツクヨミの意に沿えば、平和で安全な暮らしが保証される。
それ故に、民はツクヨミの真髄を知ることは無い。

実に巧妙に、それでいて残忍に。
ツクヨミはこの世界を掌握していた。


「さて、そろそろ始めるかのぅオキナ」

「はっ、鐘を打ち鳴らします」

放漫で、我儘。それでいてその力は神と崇められ、絶対的に君臨する。
ツクヨミの真髄を知らないノルカとソルカに……。

その時はやって来ようとしていた。







ノルカとソルカは、宮殿へと続く聖道と呼ばれるその通りをまっすぐ足早に歩いていた。
すれ違う人々は皆笑顔で楽しげで、ノルカは小さく舌打ちした。
目的はただひとつ。ツクヨミに父の無実を証明し、それを晴らす。
きっと分かってくれるはずだ。と確証もない、幼いその思いだけを胸に歩いていた。

「ノルカ。正面から突破するの?」

「当たり前っしょ!?俺達は直談判しに行くんだ!何でコソコソしなきゃならねぇ!!」

「でも、入れてくれるかなぁ?門前払いされるのがオチだと思うよ」

「やってみなきゃ分からねぇっしょ!?ウジウジしてるだけなら置いてくからな!!」

「あっ、待ってよノルカ」

ずんずんと迷いなく進むノルカの足は、次第に速度を増してゆく。ソルカはノルカの一歩後ろをついてゆく。

そんな2人の耳に、宮殿の鐘の音が響き渡った。
瞬間。周りが一気に浮き足立つ。
ノルカとソルカはその雰囲気の変わりように困惑し、立ち止まった。

「な、なんだよ!」

「見てノルカ。みんな一斉に宮殿の方へと向かってくよ?」

「なっ、」

鐘がまるで合図のように。周りの足が一気に聖道を宮殿に向かって動き出す。
その人波に揉まれながら、ノルカとソルカに走ったのは何とも嫌な予感だった。

「い、急ごうノルカ。なんだか嫌な予感がするんだっ」

「お、おぅ!!」

その波に乗るように、ノルカとソルカも進める足を早める。
ザワザワとしたざわめきから聞こえてくるのは、
楽しみだ。久々の宴だ。
などという言葉ばかりで、ノルカとソルカに更に走る不安。
どくどくと激しく脈うつ心臓や、額から吹き出す汗が二人のそれを物語っていた。

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story101(プロフ) - はい!ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ!お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお!そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ!!←怖い有難うございます!これからもよろしくお願いします(。_。*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい!もちろんです!応援してます!! (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ!おおっ!流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス・:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー!これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年6月5日 4時

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