生きた証を、この世界に［桃］

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二人が撮影に行ってる間に何とか治ってほしいと願うけど、一回発作が起きたら最低でも1時間近くは良くならない。




「おえっ...... げほげほっ、......っ、......うぅ......」

「手越、つらいよな...... ごめんな......」




泣くのを必至に我慢して、苦しそうに吐き続けてる姿は何回見ても俺まで苦しくなる。




一番辛いのは手越なんだから、俺がちゃんと見てあげるって決めたのに......




「はぁっ...... はぁっ...... しげ、......っ、おみず、ほしい」

「あっ、水？飲める......？」




持ってきたペットボトルにストローさして飲ませたら、ちょっとむせたけど飲んでくれた。




脱水症状になったら困るから、いつも水分だけはちゃんと取らせるようにしてる。




「......っ、ありがと、」

「吐き気、落ち着いた......？」

「うん......っ、でも、......うまく、すわれない......」

「ぐらぐらしてる？待ってな、ここ毛布引くから、横んなる？」




起きてるのがしんどいみたいで、借りてきた毛布を引いてそこに寝かせる。




正直、こんなんで撮影なんか無理だ。




涙でぐちゃぐちゃだし、さすがの手越でも、この辛さは隠しきれないだろ......




「あの、加藤さん...... 手越さん、撮影出来そうですか......？」

「いや...... 多分、キツいかもしれないです」

「そうですよね...... すみません、何も知らなくて」

「俺らが言わなかったのが悪いんで、本当すみません」

「増田さんと小山さんの撮影終わったら今日はやめましょう。場所変えて、また違う日に撮影で大丈夫ですから」

「えっ、いいんですか......？」




普段なら、そんなワガママは絶対に通用しない。でも、今日ばっかりはさすがに無理だ。




発作が治る気配のない手越に、「撮影、またでいいよね？」って聞いたら、珍しく うんって即答した。




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