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「...れん」
「ぅぉお、びっくりした」
ぼーっと考え事をしていたらいつのまにか彼女が背後に立っていた。
「なに？どした？喉渇いた？」
ハーブティーでも飲む？蜂蜜あったよな、確か、と冷蔵庫を探る。
「ううん。いや、喉も渇いたけど。あのね」
「ん？」
「あんたは、学校行きなね」
「.....行かんよ」
手を止めずに、淡々と、拒否の言葉を伝える。
「行きなさい」
「ないねん」
「嘘つくな」
「ないない、今日は休み」
「誰が毎朝起こしてると思ってんの。時間割は把握してるから」
「休講やねん。急でやんなるよなあ」
「......あのねえ」
彼女が、はあ、とため息をつく。
「私は子供じゃないの。看病がいるような年齢じゃないの。甲斐甲斐しくついてなくても大丈夫」
語気を強めて、彼女が言うが、どことなく息継ぎが多い気がした。
「看病の有無に年齢は関係ないやろ」
「こんなことで休まないで」
「こんなことちゃうやろ。38.5度は」
「いいから。ちゃんと行きなさい」
「いやや」
「廉」
「いや」
「.....廉」
「....雪やもん」
横で、彼女の肩がぴくっと震えるのがわかった。
言いたくなかったが、あまりに頑なに拒否するので思わず言ってしまった。
「外、雪やで」
最後の審判を待つような気持ちで、廉は呟いた。
カチン、と音が鳴ってケトルの電気が消える。
彼女を隣に置いたまま、湯たんぽにお湯をそそぎ、そのまま、今度は彼女に入れるハーブティー用にミネラルウォーターを少し入れて沸かす。
口の中がさっぱりするミントティーに、甘い蜂蜜。
廉が風邪を引くと母がよく作ってくれたこの飲み物は、いつの間にか彼女の好物にもなっていた。
黙ったままの彼女の横で、黙ったまま、蜂蜜を混ぜる。
スプーンがぶつかる音が、やけに大きく感じた。
「.....あとで」
廉の手の中のカップに廉からしたら小さな手が伸びる。
「あとで、りんご切って持ってきて」
赤い彼女専用のマグを奪って、彼女が自室に向かう。
おぼつかない足取りが、熱の高さを証明していた。
「何個でも剥いたるわ」
廉は出来上がった湯たんぽと、冷蔵庫に入れといた冷えピタを持って、追いかけた。
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まな - 一気読みしてしまいました！！無理のない頻度での投稿、楽しみにしてますね！ (2020年4月14日 0時) (
レス) id: 9c457a3c27 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - Nano.さん» ありがとうございます...！なるべくサクサクいけるよう頑張ります...！ (2020年3月17日 18時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
Nano.(プロフ) - とても楽しくみています。次の更新をお待ちしています！ (2020年3月16日 12時) (レス) id: 03ff967dd1 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます！このシーンから初めに思いついて描き始めたので嬉しいです！ (2020年2月19日 14時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - ど、ドキドキしました。キスしちゃうかと思った。廉君にとって、血のつながりはないけど、誰よりも何よりも、きっと自分よりも大切な存在が、お姉さんなんですね。すごく切なくて、大切さがひしひしと伝わってきました。 (2020年2月17日 15時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなこ | 作成日時：2020年2月13日 12時
