私の姉の旦那の親友の弟が貴方です。【プロ野球】 (ページ6)

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６.崩壊ページ6

9時に、横浜の居酒屋で_____

大事な休日をつかってまで、私になんのようだろうか？

下手な期待と妙な不安が、私の心を揺らした。

「待った？」

後ろからそう声がして、振り替えるとそこにはマスクをして帽子を深くかぶった健大くんがいた。

「ううん、私もさっき来たばっかり」

「ならよかった」と、彼は私の向かいの席に座った。

あらかじめ頼んでおいたビールが到着すると、彼は黙っておつまみを手に取った。

「今日はどうしたの？」

「いやー、久しぶりにAと話したいなーっと思って」

案外単純な理由で驚いた。

「俺のこと覚えとってくれた？」

久しぶりに広島弁を聞いて、気持ちがとても緩まる。

こっちでの生活に慣れたせいか、最近はずっと標準語で話している。

「そんなんこっちのセリフよ。
急に健大くんから通知あって、ほんま嬉しかった」

安心感からか、胸のうちがボロボロ出る。

なにより、そう言ったときの健大くんの表情がとても明るい。

やめて欲しい、へんな勘違いをしそう。

ビールを片手に、健大くんが口を開く。

「でも、ほんっと最近会えとらんかったよね」

「お互い仕事の都合とか合わんかったし、しょうがない気もするけどやっぱ寂しかったわ」

「……なんか嬉しい」

「なにが？？」

「俺ってそんな思われとるんだ、って考えたら」

「ちょ、やめてよなんか照れる」

「あ、ご、ごめん」

そんな、できたてほやほやのカップルみたいな会話。

勝手にそう思ってるなんて、私かなりキモいな。

健大くんにだって彼女はいるだろうに……

「……彼氏とかおる？」

急な質問に、とっさに答えることができない。

「その反応は怪しい」

「い、いや、おらんよ」

……しまった

「なんか安心した」

健大くんの笑顔が胸に刺さる。

私、嘘ついちゃったの？

胸にモヤモヤを抱えたまま、その後もだらだらと世間話をしてその日は解散した。

家に帰ったら時刻は既に1時をまわっていた。

ふとソファを見ると、誠司がそこで眠ってた。

友達と飲んで帰ると伝えてはいたが、流石に心配してくれたんだろう。

誠司を横に倒して、毛布をかける。

「誠司……」

いま誠司と別れたら、私が健大くんにいったことは本当になる。

……誠司だって、どうせ私には興味ないんでしょ？

ずっとそう思ってた。

なのに……

今まで頑張って作ってきたパズルが、音をたてて壊れ始めたのを感じた。

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