over dose.【ばぁう】【まひとくん。】

執事って、コスプレかよ。 ページ3

vau.

「いらっしゃいませ。ご予約のばぁう様、まひと様ですね。奥の部屋まで案内します。」

今時珍しい、豪華で重いドアで出迎えた店の一印象は悪くなく、

容姿の特徴を軽く伝えただけですぐに理解が追い付くオーナーは嫌いでは無かった。

コスプレかよ、とツッコミたくなる位本当に執事の様な格好をしていて、

「此方へどうぞ。」と案内する様までもが執事感が半端無かった。

外ではあんなにも鬱陶しかったブーツが、

此処では大人しくカーペットに音を吸収されている。

余りにも広い店内にちょっとだけ日和ったのは内緒。

出入り口と同じ様なデザインのドアノブ付きの扉を開けると、既に前菜が用意されていた。

「是非、お楽しみ下さいませ。」

最低限の事だけ伝えると、一礼をして静かにドアを閉めて行った。

食べログで受け取った内容よりも全然凄いし、リピーターが増えるのも当然だと納得した。

唯一の欠点は、俺らが食事する所に相応しく無いと言う事だ。

基本馬鹿騒ぎする俺らにとって、静かにクラシックBGMが流れる場所など

場違いを超え、世界線が違うと言っても過言では無い。

今日は下見も兼ねて訪れたが、暫く来る事は無いだろう。

幸いにも今回は、余りハイなテンションでは無いので周りの迷惑にならないだろう。

真っ白で皺一つ無いシーツを被せた大きなテーブルの近くに寄り、

これまた光り輝く白を基調にして黄金のラインが引かれている椅子に上着をかける。

マナー、知らないの？→←今日は、冷えるね。

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