【ワートリ】追いつきますから【太刀川慶】

やけ。 ページ28

胸の痛みがとれなくてもやもやしてたアタシはもう一回自販機のもとへと向かった。

こんな時は炭酸ジュースでも飲んですっきりするのが一番だよね!

なんて単純な考えのアタシは自分でもホントに馬鹿だなと思う。

とりあえず、気晴らし。

誰か見つけたらランク戦誘って更に気晴らし。


自販機にお金を入れて、炭酸ジュースのボタンを押す。

近くにあった椅子に座って思い切り喉にジュースを流し込む。

ふとココアを見たらちょっと自分がむなしくなった。



そりゃそうだよね。

蓮さんの方が大人っぽくてきれいだし。

アタシみたいな高校生がまともに恋愛対象として見てもらえるわけがないし。

それはちゃんとわかっていたけれど。

だからあまり表に出さないようにしていた。



それでもやっぱり、


「寂しいな……」




「何が寂しいんだ?」

急に頭上から声が飛んだ。



「か、かざまさん!」

いきなりの登場にめっちゃびっくりした。

ていうか独り言聞かれてたあたりが一番恥ずかしいんだけど……。


「何が寂しかったんだ?」

そう言いながらアタシの座っている椅子の残っているスペースに座る。

「それ、聞いちゃいます?」

風間さんってホントにストレートすぎて……。



「太刀川の事か?」


あまりにもドンピシャ過ぎてビビった。

え、風間さんってそんなにそういう話に詳しい人だったか?


「さっき太刀川と月見が仲良さそうに話してたぞ」

「知ってますよ。さっき見ました」

すこし声にふてていたのが表れちゃった気がした。

風間さん、口には出してないけどこの間の事と言い、絶対アタシの気持ち知ってる。



「いいのか?好きなんだろ?」

ホンットにドンピシャできたあああ!

なにこれ笑うしかないやつじゃない?


固まるアタシに風間さんはもう一度聞いた。


「違うのか?」



「そ、うですけど……」


小さく、小さく答えた。

知ってたんですか。→←痛み。

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