【文スト】武装探偵社の陰キャは実は凄い。

相対−7 ページ35

｢そういえばAと会ったのも空港だったね〜｣




『え、結構感動のシーンぽかったのに。乱歩氏忘れてた？嘘、拙者心が折れそうですわ』




｢Aは、Aだから･･･｣




『鏡花氏天使･･･』





暗い過去の話なんて無かったかのように、和気藹々としたいつもの雰囲気に戻っていた探偵社。春野の入れた緑茶を飲みながらそれを見ていた福沢は、ある記憶がフラッシュバックした。









"伝えないのか？"




"伝えて、もし見捨てられでもしたら僕の心折れますからな"









｢(その心配は、不要だったな)｣





そういえば、とナオミが声を上げる。





｢お姉様、今日早退の予定でしたわね。何でですの？｣




『あぁ･･･今日の夜八時から行われる面倒でしかない討論会に出なきゃ行けなくて･･･あぁ！！胃が痛い･･･胃薬がいくらあっても胃がいくつあっても足りない･･･』




｢今日の夜八時･･･まさか世界的な討論会、"科学答弁･発表会"のことか！？｣




『え、あぁ。国木田氏よく知ってますな』




｢毎年元理系教師として見ていた･･･でも何故Aが？｣




え、そりゃ僕が科学者だからでしょうが。





探偵社に落ちた本日二回目の爆弾。与謝野は何でもっと早く言わないんだい！！と胸倉を掴み、国木田は手帳に"夜八時から科学答弁･発表会を見る"と万年筆を滑らせていた。





中島と鏡花は、社員寮のテレビで見れるかなと話し、太宰はいやぁ流石Aちゃん！！どうか私と心中を･･･と迫り、乱歩に辞めとけ太宰と一蹴されていた。ざまーみろとAは思った。物凄く。





谷崎がパソコンで"司馬A"を検索すると、大量の科学サイトに名前が載っていた。肖像権の問題とか何かとケチを付けて写真は載ってなかったが。
一番上に来たサイトによると。





｢科学の申し子･司馬A！！
史上最年少で名を連ね今はITと幅広く手を付ける天才｣と書かれていた。
Aは｢悪く言えば若い癖に調子乗んなこの野郎。科学やんなら一本道で行けや何浮気してんだよっていう世間からの叩きだ！！｣と腹を抱えていた。





世界的に有名な科学者だが、武装探偵者の社員としてはただの陰キャ。皆はそんなAに笑っていた。





『拙者が喋るより音声再現ソフトの音声読み上げの方が絶対聞き取りやすくて皆嬉しいって･･･あぁぁ！合法的にサボりたいぃ･･･！！』





いや、駄目でしょうが。

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