頑固者が2人おりまして

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監督「……カット！



ちょっとAさん、調子悪そうだし、休憩とりましょうか」



『すみません』




岩さんとの合わせの次の日、朝から映画撮影だったけど、いまいち調子が出なかった。



セリフも噛んだり、表情が固いなんて、言われたり、あんまり、こういう事ないのにな、困った。



ふーっと、長く息を吐けば、少しは心が落ち着くような気もするかと思ったけど、そういう問題でもなかったらしい。



頭に浮かぶのは、少し、照れたような壱馬の顔と、その時に放った言葉。




そして、私の放った言葉だ。




昨日の壱馬は見てられなかった。





『.......似てるからね』




私と。




岩さんのことが、好きすぎた、あの時の私とそっくり。




青木「珍しいなあ、Aが、調子悪いのは」




『.......ちょっとねえ』




少し、言いすぎたかなとは思うけど、もう、深入りもしたくない。




私は、iPhoneを取り出して、岩さんにLINEを送る。




“恋人ごっこ、やりましょう”




これを乗り越えたら、きっと、恋愛なんてほら。




馬鹿馬鹿しくて、するだけ時間の無駄よって、笑えるはずなの。



やっぱり、私が、正しいって。









＿＿＿









慎「壱馬さん元気ないっすね」




壱「おん」



翔平「あらま、素直」




ツアーリハの休憩中、スタジオの隅で、慎からそう言われて、素直に頷けば、慎の後ろから翔平が顔を出した。




壱「恋愛って難しい」




翔平「え！好きな人いるんですかい！」



壱「……声でかいねんて」




急に大きな声を出した翔平の口を慌てて、右手で塞いだ。

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