守りたいもの

揺らぎ3 ページ20

『ぐぁぁ！！！』


振り返った先にいたのは、同じく遊園地で後を付けてたもう1人の女…
振り返った事で背中ではなく脇腹に包丁が刺さる。

ドサリと倒れ、Aは痛みに顔を歪めた。


「これで安室さんは自由よ！！」

「あっはははははは！！！」


二人の女は高らかに笑いながらその場を立ち去った…


刺された所が熱くなる…
グラグラとする視界…だが、痛みと熱で意識を叩き起されるようだ…


『こ、こんな所で…！』

こんな所で死ねない！降谷さんに迷惑がかかる！お願い…お願いだから…！！



「お姉さん大丈夫！！！！？」


その時目の前にやってきた小さな少年……
彼はAの傷を見て真っ青になりながら急いで携帯を取り出す。
だが、Aの意識は朦朧としてきていた。


『言わないで…お願い…』

「お姉さん！？喋っちゃダメだ！！」

『お願い…彼に…言わないで…お…ねが…い…』


そしてAの意識はそこで途絶えた……






風見は連絡を受け病院内を早歩きで向かう。
教えられた部屋に着き、直ぐ様ドアを開けた…


「…っ！小桜！！」


風見が名前を呼び慌ててベッドに駆け寄る…
するとそこには青白い顔をして横たわるAの姿があった……


「…お兄さん誰？お姉さんを知ってるの？」

「…君は！？」


そこで近くに少年が座っていることに気が付いた…


「僕は江戸川コナン…刺されたお姉さんを見つけて救急車呼んだんだ。」

「そうか…君が…」


すると風見はピッと足を揃え深々と頭を下げる。


「っ！？」

「小桜を助けてくれてありがとう…俺は風見…小桜の上司だ…」

「お姉さんの上司なんだ…」

「あぁ…連絡を聞いた時は焦った…」


風見はピクリとも動かないAを見下ろす。


「風見さんは…お姉さんの恋人を知ってる？」

「(あれか…降谷さんとの作戦のやつか…)
あぁ、知っているよ。」

「お姉さんね…ずっと言ってたの…『お願い、彼には言わないで』って…」

「っ！」


彼女の想いが分かってしまった…
きっと降谷さんには言わないで欲しいってことなんだろう…


「『彼の邪魔には…重荷には…』って…ずっと…」

「…小桜を襲った犯人は見たかい？」

「うん、後ろ姿だったけど特徴言って…その後捕まったって…」

「…どいつだ？」


顔は無表情だが、自分でも分かるくらい声がワントーン低くなり、握られた拳に更にギリッと力が籠る。

その気迫にコナンは一瞬言葉に詰まるが、ゆっくりと説明を始めた。


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