073 どうか、安らかに ページ29
氷は、主や金木犀たちを巻き込まないように進みながら、桐と彼の男士たちを縛っていく
薔薇の棘が体に食い込み、彼らは顔をしかめる
だが、ここで止めてはいけない
「……咲け、青薔薇」
その言葉と同時に、たくさんの薔薇が咲き誇っていく様子を頭に思い浮かべる
食い込んだ棘から天命を吸い取って、蕾が花弁を開いていく
1つの薔薇が鈴のような軽やかな音を発して花が完全に開いた事を知らせると、次々に同じ音が鳴り響く
そして、それぞれの花から光のようなものが溢れて空気中を彷徨い始めた
薔薇たちが桐と男士たちの天命を空気中に放出しているのだ
夜空「……ここからは俺の仕事か」
「お願いね」
夜空「任せろ」
夜空は抜いていた剣を高々と掲げると、式句を呟いた
天命が夜空の許へと集まっていく
かつて、夜空が、たくさんの天命を吸い取ってきた大きな杉だったからこそできる技だ
夜に夏の虫が光のある場所へ近づいてくるかのように集まっている天命は、彼の剣の中に入っても尚光り続ける
とうとう、天命が底を突き始めた男士たちは、眠るように気を失った
桐も同様に気絶したため、霊力の供給が止まった刀剣男士たちは、その数分後に人の身体を失って本来の姿に戻った
私はそこで剣を床から抜き、鞘に戻した
夜空は再び式句を唱えた
剣に封じ込められていた光が、今度は剣から放出され、その5割は怪我をしていた白光たちや主に、1割は倒れている桐に、他の1割は刀傷でいっぱいになっていた道場に、残った3割は雄に向かっていった
アスナ「んっ……あれ、私……」
主が目を覚ました
乱「あるじさん! 大丈夫!?」
金木犀「主、覚えてるか? Aが主を助けてくれたんだぜ」
アスナ「Aちゃんが……」
「主さま、心配をかけてしまってすみません。もう少しで終わるので、休憩していてください」
アスナ「う、うん」
主を三日月さんと白光に頼んで、私は桐の様子を見に行った
非常事態で無力化するためだったとはいえ、生身の人間の天命を吸い取ってしまったので桐には悪い事をしてしまった
桐に謝罪の言葉をかけ、私は雄が眠っているところへ向かった
一見静かに眠っているようにも見えるが、彼は息をしていない
夜空「弔われるときは、綺麗な見た目が良いだろ」
私の後ろにいた夜空はそう言った
夜空は、この為だけに彼に天命を分けていたのだ
「どうか、安らかにお眠り下さい」
私は跪いて目を閉じた
他の6人も同じようにしていた
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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (
レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつもいつも楽しみにさせて頂いております！これからも更新頑張ってください！ (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白（あきら） | 作成日時：2019年10月13日 2時
