056 心が痛む ページ12
なぜ、あんな事言ったんだろう
なぜ、あそこで顔を出したんだろう
屋根の上を走りながら悶々と考える
下には、赤い光を発している白黒の何かが追いかけてきている
そして、ふと思った
「……あそこに兜置いて来ちゃった」
大丈夫だろうか
主さまに怒られないだろうか
「っ不安になっちゃだめよ青薔薇の剣! 早く光の巫女を見つけて主さまに褒めてもらうのよ!」
気を入れ直して、上から街を見回す
しかし、どこを見ても光の巫女のような人物は見当たらない
そう言えば、私は主さまから光の巫女の特徴を聞いていなかった
このままでは、光の巫女を連れて帰れない
一気に不安が押し寄せてきて、大きな建物の屋上で足が止まる
白黒の何かからの騒音が聞こえなくなり、冷や汗が背中に流れる
「どうしよう……主さまが悲しんじゃう……!」
上手く呼吸ができなくなり、酸欠で目の前が暗くなっていく
目眩もしてきて、頭を抱えてその場にうずくまる
瞼をきつく閉じて、外からの情報をすべて遮断する
体が震えて、吹き抜けていく風にすら怯えるほど触覚が敏感なっている
「いや……! 誰かッ……!」
瞼を閉じたままそう言うと、先程の金木犀の真剣な表情が脳裏に浮かぶ
「金木犀でも夜空でも良いからっ! 助けて!!」
ここが見知らぬ建物の屋上だということも忘れて助けを乞う
その時、誰かの手が私の肩に触れた
触覚が敏感になっていたので、反射でその手から離れるように飛び退いた
目の前にいたのは、
「キリト……様……」
キリト「……ユージオ、なのか?」
まずい
とてもまずい
やっぱり兜を外したのがいけなかったんだ
「……そんな方、知りません」
彼から目を逸らして、消え入るような声で言う
本当は、ユージオ様の事を忘れた日なんてない
知らないと嘘を吐くだけでも心が痛む
そんな痛みから逃げるように走り出し、隣の建物の屋根に飛び移った
薄暗い道をとぼとぼ歩く
正直、私がこんな所を歩いている理由も分からない
主さまに失望されてしまう
その事しか考えられなかった
しかし次の瞬間、いつの間にか景色が変わっていて、私は本丸に居た
桐『おかえり。どうしたんだい? 顔が真っ青だよ』
「主さま……私……」
桐『初めての出陣で、大変な任務を任せてしまったね
疲れただろう。ゆっくり休んでおいで』
主さまは、私のした事なんてわかってるはずなのに責めようとしてこない
それに安らぎを覚えて、急に眠くなってきた
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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (
レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつもいつも楽しみにさせて頂いております！これからも更新頑張ってください！ (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白（あきら） | 作成日時：2019年10月13日 2時
