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待ち合わせは、理科準備室。


私が3回ノックすれば、

中から先生が鍵を開けてくれる。


___コン、コンコン


手が震えて、

一回目はノックというか

手がかすっただけだった。


それでも、



「___ホントに来たんだ?」


先生はかすれたノックに気づいたらしい。



「来ちゃダメでした?」


私のどこが面白かったのか、

先生はさも可笑しそうに笑う。



「Aも女子を見る目ないなーってね」


「っ、」


女子、って私のこと?


胸が痛いのに気づかないフリをして

先生の顔をみたら、

先生はとっくに笑うのをやめていて。


私をじっと見つめる目に、

息が詰まりそうになる。


全部見透かされているようで、

背中がゾクッとする。


目をそらしたいのに、

そこの見えない瞳が私を引き付けて

離してくれない。



「だって君、最初から俺目当てでしょ?」


先生の口から放たれたその言葉に、

私はなんと答えよう。


そうなんですぅよく分かりましたねぇ〜

なんて言ったら私の計画は台無し。


かといって

ち、ちがいます私はべつに・・・っ!

なんて今更とぼけすぎ。


もうこうなったら仕方がない。



「・・・佐々木くんも、

分かってることですから」


「え?」


私が選んだ言葉は、

予想以上に先生を驚かせたらしい。


さっきまでの冷たい目が大きく見開かれる。



「先生、なんにもご存知ないんですね」


ちょっとバカにしたようにそう言うと、

ようやくいつもの余裕の笑みに戻った。



「当たり前だよ。

俺はアイツの保護者でも

なんでもないんだから」


そう言った先生の顔は悲しげで、

それに先生は気づいていないんだろうか。


気づいてないなら、好都合。

佐々木くんへの好意に

未練を抱く暇すら与えずに

そのまま先生を奪ってしまおう。



___なのに。



「佐々木くん、先生のこと好きですよ」


なに言ってんだろ私。


そんな事言ったら、

先生は佐々木くんを選ぶに決まってるのに。



「隠してるけど、私には分かるんです。」


でも彼は、

私とおんなじ顔してるから。


絶対に恋してる顔なのに。


そのくせ自分の気持ちは隠して、

人の心配ばっか。



「彼は私と闘うことを決めたんです。

どちらが先生に選ばれるか、

勝負しようって」


そう自分で言って気がついた。


私が私の計画を台無しにしたのは、

きっと彼への借りを返すため。





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設定タグ:オリジナル , BL , 男主   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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文月華胡(プロフ) - 愛香さん» コメントありがとうございます(*^^*)数あるBL作品からこの作品を見つけてくださったこと、また気に入っていただけたこと、とても嬉しいです(*^^*)本当にありがとうございます! (2020年5月9日 23時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)
愛香(プロフ) - 私BLのはあまり読んだことないんですが、面白かったです! (2020年5月8日 15時) (レス) id: 02509c761b (このIDを非表示/違反報告)
文月華胡(プロフ) - ささん» レス遅くなってしまってごめんなさい(>_<)気に入っていただけてとても嬉しいです(*^^*)活動休止中ですが、コメントいただけてとっても嬉しいです、本当にありがとうございます(* > <) (2020年3月1日 18時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)
- 少女漫画みたいな恋ですね。桜庭ちゃんが良いキャラだと思います!とても好きです! (2020年2月2日 21時) (レス) id: e07dc37db8 (このIDを非表示/違反報告)
文月華胡(プロフ) - コットンさん» コメントありがとうございます!気に入っていただけたようで、とっても嬉しいです(*ToT)ありがとうございます♪(/ω\*) (2019年2月10日 23時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:文月華胡 | 作成日時:2017年2月28日 19時

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