隠さなくても、いーですか？ ＊不器用男子高校生×爽やか系非常勤教師 〈BL〉

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「＿＿＿A、」


背中のドア越しに聞こえた声。

一瞬ビクッとなって、慌てて口を押さえる。

声が出そうだった。



「・・・開けて」


「っなんで」


なんで開けなきゃいけないんだって気持ちと、

なんでここまで来たんだよって気持ち。


後追って来たなんて気づかなかった。

階段上る音とか、しなかったし。



「さっき、変なこと言ってごめんな」


桜庭の話だろうか。



「・・・お前、いちいち反応いいから、

なんかからかいたくなるって言うか。」


「教師が生徒からかうとかサイテーだろ」


「お前はトクベツなんだよ」


「っ、」


なに言ってんだよ？

ってか、特別からかいたくなるヤツ

なんて言われても嬉しくないし。



「だってほら・・・幼馴染だし」


「だからって、」


「ずっと一緒に居て、何でも知ってるって思ってたから。

俺の知らないAがいるって知って、

なんかちょっと嫌で」


「嫌って、「ねえ、」」


嫌ってどういうことだよ？

俺のことなんか、アンタにとっては別に。


俺のことより

女の子のこと考えてる方が、

化学のなんかよく分かんねーこと考えてる方が、

その方がよっぽど。



「開けて、A」


俺の名前を呼ぶ声が、

なんかいつもより悲しそうだったから。


そんなの俺の思い過ごしかもしれないけど、

それでも俺は。


今浩司が、どんな顔してるのか見たくなった。





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