隠さなくても、いーですか？ ＊不器用男子高校生×爽やか系非常勤教師 〈BL〉

17 ページ18

浩司の好きなところ。


考えようとすると、

あのウザいほど爽やかな笑顔がちらついて胸が痛い。


小さいころからあの人には悪態ばかりついて、

悪いところばかり探して。


・・・だからだろうか。

"好きなところ"と言われているのに

でてくるのは「女たらし」とか「お節介」とか

「ハンザイシャ」とか

悪いとこばっかり。



「私はね、影が好き」


「え？」


「いつもはヘラヘラしてるけど、

たまに真顔になるの。

その顔がとてつもなく好き」


桜庭のことだから、

「イケメンだから」とか「人気があるから」

とかそういうことだと思ってた。



「前に放課後に実験室覗いたら

先生がいて。

実験器具とか、凄く丁寧に磨いてて」


「・・・俺も、見たことある。」


「綺麗、って

こういうことを言うのかな

って思った」


桜庭の顔から、

さっきまでの

イジワルそうな表情は完全に消えていた。


頬をかすかに赤く染めて、

好きな人について語る人そのものだった。



「前はヘラヘラしてて皆にちやほやされて

どっかキャラ被りっていうか、

好きになれなかったんだけど」


みんなから人気がある、

という点では確かにキャラ被りかもしれない。



「ビーカー磨いてる先生見たら、

なんかもうそういう感情

みんなどっか行っちゃって」



・・・本当にコイツは、

あの人のことが好きなんだ。


桜庭の声、顔、全てから

それがよく分かった。



「だから、佐々木君には負けない」


「っ、」


「卑怯な手使ってるのは分かってる。

だけどどうしても

私は先生の視界に入りたいの」


そこまでしなくたって、

あの人は桜庭のことを

すでに知ってるんじゃないだろうか。


美人だし、

とっくに手を出してもいいはずなのに。



「送ってくれてありがとう。

家、この近くだからもう大丈夫」


「・・・じゃあ。」


「また明日」


・・・アイツ、本気なんだ。

帰っていく後姿を見ながら

感じたことのない危機感を覚える。


もしあの人が、

本気で恋愛したいって思ったとき。


あの人のことを本気で好きな

男と女だったら

あの人は間違いなく女を選ぶだろう。


俺に勝ち目なんて、

もうないんじゃないだろうか。





・

18→←16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す