隠さなくても、いーですか？ ＊不器用男子高校生×爽やか系非常勤教師 〈BL〉

理科準備室の秘密とは ページ1

＿＿＿朝、校門の前。



さっきまで

アイドルの誰がカッコいいとか

誰と誰が付き合ってるとか、

そんな話で盛り上がってた女子たちが、

急に話をやめる。



そして、


「「おはようございまーす!!」」


渾身の上目遣いでご挨拶。



「おはよう」


相手の名は、坂本浩司。

うちの学校の非常勤教師だ。


いわゆるモデル体型な上に、顔もいい。

どこぞの俳優なんかよりずっとそれっぽい。


まあ俺にとっては、

ただの化学オタクに過ぎないけど。



「おはよ、A」


「・・・はよ」


「なんだお前、

朝っぱらから陰気臭せーなー!!」


バシバシと人の背中を遠慮なく叩く。



「うっせ。俺は低血圧なんだよ」


「そんなもん気合で何とかしろよー」


「何とかなるわけねーだろ」


つーか

アンタのその爽やかオーラがダメなんだよ。



「そうか？

大抵のことは気合で何とかなるもんだぞ」


「俺そーゆーの無理だから」


「そんなすぐあきらめんなって!!」


「あーうっさい。早く職員室行けよ」


そーゆー暑苦しいカンジのいらないから。



「うわ佐々木クン、

センセーに向かって

そういうこと言っていいんですかー？」


「別にいいだろ」


「校長先生に言いつけちゃうぞ!?」


「アンタが言いつけても

そんなに影響力ないだろ」


なにが「ちゃうぞ!?」だ。

このチャラ男が。



「うわ、ひっどー？」


「っつーか俺だって

校長に言いつけてやってもいいんだかんな？」


「え、」


「理科準備室で、

アンタが女子となにやってるか。」


「別にいいんじゃなーい？」


「っ、」


「ってゆーか逆に、

なんでA言いつけないの？」


心底不思議そうな目で俺を見つめる。



「俺別に、口止めとかしてないけど」



坂本浩司は、


普段は生徒入室禁止の理科準備室に

自分に気がありそうな女子生徒を何人も呼び、


沢山の女子と関係を持っている。



俺はその光景を

不運にも目撃してしまったことがあるのだ。



俺が言いつければ、

間違いなく浩司は辞職しなければならない。


でもコイツは、

俺に口止めなんか頼まない。



「まー可愛い女子と寝れなくなるのは

ちょっと寂しいかなー」


「っ、」


おまけにこんな、

教師あるまじき発言までするような奴だ。



だけど俺は、言いつけることが出来ない。



「じゃーなA！」



なぜなら俺は、

爽やかに手を振り去っていくこの男が、





＿＿＿＿＿ずっと前から好きだから。





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