歓迎会 ページ25
「ではでは皆様〜、我が空中楼閣組織への新しい団員を歓迎して〜、」
「かんぱーい!!」
「ね、灯色ちゃんも!」
「…かんぱーい……」
…これは、どういう状況なんだろう。
私はさっきまで、確実に誘拐されていた。確実に。
だがしかしたった今私の目の前に広がる光景は、石作りの密室とは程遠い。
つい先日私を助けて介抱してくれた謎の超能力少女二人と、女の子と見紛うほど端正な顔立ちをした空飛ぶショタ(彗蓮談)。
それと…グレーのパーカーにジーパンという、ラフな格好をした爽やか系糸目イケメン。
少女二人の内一人は美味しそうに出された料理を頬張っており、もう一人はそれを横目にジュースを飲んでいる。
男の子は私と距離をとって、少女の後ろで私の様子を窺っている。
好青年は、私に積極的に話しかけてくる。
壁にはカラフルなペンキで雑に『新入団員歓迎会』と書かれた布が垂れている。
「灯色ちゃん、食べないの?おいしいよー」
「ああ、うん、私は『今は』ちょっと…」
「じゃあ『あとで』食べるんだね!今日は灯色ちゃんが主役なんだから、遠慮しないでね」
すいれんさんは勝手に紙皿に私の分を取り分けて、こっちに寄越す。確かに美味しそうだけど、今はちょっと状況処理が追い付いていなくてそれどころじゃない。
「えっと、今は何をしてるんだっけ?」
「灯色さんの歓迎会っていってるじゃない」
もう認知症?早いねなんて軽口を叩かれる。
「え、だって私今あの人に腕掴まれて無理矢理連れてこられたんだよ!?なんかされるのかと思ったし、だから急にこんなパーティーでびっくりしたから…」
「日本語がちょっとへん」
ずばっと言い放つふうりさん。
「でもそうだねー、あいつらとは初対面だからね。いったん自己紹介し直す?私とすいれんも」
「ん、いいよー!」
ぱっと立ち上がるすいれんさん。後ろで私を警戒していた男の子は、すいれんさんの急な行動にびっくりして、慌てて隠れようとする。かわいい奴だな。
「それじゃあ俺もだね」
「あたりまえだろうが」
よいしょと立ち上がった青年は、私に向き直る。私に目線を合わせると、にこっと愛想良く笑いかけた。
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ひすい(プロフ) - tubinさん» わわ、嬉しいお言葉がたくさん!ありがとうございます。雪氏の挿絵も相まってキャラの可愛さが伝わっていれば幸いです…。モチベがあがるー!早めに更新できるように努力します(`∀´*)/ (2021年8月28日 0時) (レス) id: bcd955ca5c (このIDを非表示/違反報告)
tubin - ひすいさん» すごくおもしろかったです!! 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください!! (2021年8月27日 10時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴(プロフ) - 秘封活動録………秘封活動倶楽部を思い出した……wwそれはさておき面白かったです! (2021年1月27日 14時) (レス) id: 877859fa3c (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 梨李愛さん» な、何かが違う…。でもありがとうございます、梅酒呑みます未成年ですけど!!! (2020年11月24日 18時) (レス) id: 13e26514b2 (このIDを非表示/違反報告)
75。(プロフ) - 梨李愛さん» 梨李愛さんだ!(歓喜)推しの敵の弱点を頂きましたありがとうございます^^ ?「75と仲間になる確率が上がった!」 (2020年11月24日 17時) (レス) id: 262b134c7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひすい&雪。 x他1人 | 作成日時:2020年10月26日 21時