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278.理解出来ない。 ページ39

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「何故、秦国を滅ぼそうとするんですか!六国と同盟を結んだと…!そこに住む民はどうなってもいいと、李牧さんはそう言うんですか!」

「言葉を選んで伝えたつもりでしたが、どうやら楚で情報を得てきてしまったみたいですね」


楚陣営から帰ってきた私は、その足で李牧さんのいる天幕へと向かった。

策を施すのが軍師の務め。どうやって秦に攻めこむのか、敵は何処の国とか、兵の数はどれだけいるとか、詳しく作戦を教えてもらった訳ではない。ただ、戦を始めるのみで。秦を滅ぼすと口で言われても信じがたかった。

でも、項翼さんが言っていた六国が時を同じくして秦に進軍するというなら、分断され軍としての機能は麻痺される。援軍を送り込む余裕もなく、一度攻めこまれれば逃げ場のない民は敵の手によって無残な最期を迎えなければならない。


「どの国も指針が同じなら、手を取り合うことも辞さないんです。何百年もそうやって領土を広げては奪われ、また取り戻すを繰り返して自国を守ってきた。秦国の王もそうであるように、どこの国の王も領地拡大の為に躍起になっています。その部分に付け入れば、同盟を結ぶ事も難しくはありません。ただ……今回はそれが秦国だっただけです」

「私は納得できませんっ…!いつも犠牲になるのは戦う術のない人達です。王の命令だとか、自国の勢力拡大の為とか、私には理解できません!民の声に耳を傾けず、私利私欲の為だけに……。大切な人が亡くなる痛み、救いたいと願っても拒まれ、目の前で見守ることしかできなかった苦しみ…っ」

「……王騎将軍の事を…言っているのですか?」


私の頬へと伸びてきた李牧さんの手を、乱暴に払った。赤くなった自分の甲を見つめ、「また私は此度の戦で、貴女に嫌われてしまうんですね…。」と李牧さんが呟く。

悲しげな表情に、なぜ自分の胸が痛むのか。憎むべき相手に同情する必要もないのに…。


「A、何処へ――」

「自分の天幕に戻るだけです…。」


呼び止める李牧さんに背を向け、天幕を出た。

このまま何もせずにはいられない。
私には戦う力がある。


「……鳳明さん…?」


私の天幕前をうろうろしている鳳明さんに声をかければ、「何処に行っていた」と駆け寄ってきた。

279.また一人魅了される。→←277.開戦までもう僅か。



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設定タグ:キングダム , トリップ , 逆ハーレム   
作品ジャンル:アニメ
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S - 初コメ失礼します!キングダムにハマって昨日この小説を一から読んだんですがほんとに号泣で最高です!これからもがんばってください (3月31日 13時) (レス) @page50 id: 458c8fefa1 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 綿菓子さん» コメントありがとうございます。確かに、自分でも早いと思ってます笑。引き続き読んでいただけたら、嬉しいです。ありがとうございますね。 (2020年6月12日 19時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子 - 最近は更新スピードがとても速いので嬉しいです!唯一無二の花嫁。7も必ず読みます♪無理せず更新頑張ってください(^^) (2020年6月11日 19時) (レス) id: 80159fc2f2 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 海さん» ありがとうございます。私も、読者様がこの作品を読んでくれることと、コメントをもらえることが原動力になってます。更新頑張ります! (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ゆうあさん» はい、宜しくお願いします!こちらこそ読んでいただき、ありがとうございます。頑張りますね! (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年12月30日 16時

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