251.拒む理由。 ページ12
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「王賁さんは山陽一帯の守備にあたるんですよね?」
「そうだ」
「じゃあ私や信、蒙恬さんとはここで別行動になるわけなんですね…。」
「そう暗い顔をするな。お前は笑っていた方がいい。話は其ぐらいで切り上げ、その愛らしい顔を俺によく見せてくれ」
寝台の上で向い合わせの状況。鍛練を終えた王賁さんは汗で濡れた服を着替えたものの、前ははだけた状態で、逞しい体を直視することが出来ず私は俯いた。
何でこんなことになってるかと言うと、明日からは別々の場所に配属になり、暫く私と会えなくなるのを我慢出来ないと王賁さんが半ば強引に玉鳳隊の野営地に私を連れて来たからだ。
信は行かせないと立ち塞がったけど、新しく飛信隊の軍師となった貂に呼ばれて嫌々歩いて行った。
そう言えば貂に会うのも久しぶり…。
「A…。」
「え、あ…っ」
名前を呼ばれて顔を上げれば熱っぽい眼差しの王賁さんと視線が交わる。頬へと伸びてきた手に驚く私と違い、じっと私の唇を王賁さんは見つめていて。ゆっくりと整った顔が近づいてくる。
「だ、駄目です!」
王賁さんの顔に見惚れていた私は慌てて胸を押し返す。少し不機嫌そうな表情の王賁さんは「なぜだ」と私の手を掴み、さらに顔を近づけてきた。
「なぜだと言われても…、」
「俺の事が嫌いか?」
「そうではなくて、」
「ならば問題はお前の心の中にあるのだな。俺がお前に心惹かれるように、お前も誰かを思っているというわけか……。だが、例えそうだとしてもこの先Aが俺に惹かれないとも限らない」
「それは…。」
「初めて欲しいと思った女はお前だけだ。お前以外の女に興味はない」
何か言わないといけないのに、塞がれた唇は言葉を吐くことも許してくれない。抱き締められそのまま押し倒され、強引だけど髪を撫でながらのキスはとても優しい。啄むようなキスが深くなって、強張っていた体の力が行為によって甘く解かされていく。
「そんな表情されると、止められなくなる」
「……王賁…さん…。」
流されては駄目。毅然とした態度で接しなければ…。
それなのに、私の名前を呼びながら繰り返されるキスが気持ちよくて。
政にも苦言を呈されたばかりなのに。「容易く唇を奪われるな」と。
「A、他の男の事を考えているだろう?」
私を見つめてくる王賁さんの目と、視線が交わった。
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S - 初コメ失礼します!キングダムにハマって昨日この小説を一から読んだんですがほんとに号泣で最高です!これからもがんばってください (3月31日 13時) (レス) @page50 id: 458c8fefa1 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 綿菓子さん» コメントありがとうございます。確かに、自分でも早いと思ってます笑。引き続き読んでいただけたら、嬉しいです。ありがとうございますね。 (2020年6月12日 19時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子 - 最近は更新スピードがとても速いので嬉しいです!唯一無二の花嫁。7も必ず読みます♪無理せず更新頑張ってください(^^) (2020年6月11日 19時) (レス) id: 80159fc2f2 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 海さん» ありがとうございます。私も、読者様がこの作品を読んでくれることと、コメントをもらえることが原動力になってます。更新頑張ります! (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ゆうあさん» はい、宜しくお願いします!こちらこそ読んでいただき、ありがとうございます。頑張りますね! (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年12月30日 16時