酔わされて。1 信×王賁×蒙恬 ページ7
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「え、信が揉めてる!?それも相手は王賁さんと蒙恬さんって、」
王賁さんの配下の番陽さんが仲裁して下さいと私に助けを求めてきたのは数分前。何とかしなきゃと天幕を開けた私は、目の前の光景に愕然とした。
「Aちゃん!来てくれたの?」
綺麗な目をキラキラと輝かせて私に抱きついてくる蒙恬さん。
「蒙恬、貴様は何度言ったらわかる。Aに触れるな」
「痛い痛い!俺の腕が折れちゃう」
王賁さんに腕を掴まれた蒙恬さんは大げさな声を出し、「助けてAちゃん」と私にまた抱きつこうとした。それを許すはずもない王賁さんが嫌がる蒙恬さんの首根っこを掴み、座れと一喝。
「A、お前も付き合え。白老将軍が酒を振る舞ってくれたんだ」
「お酒…?信達揉めてたんじゃなかったの?」
「揉めてる?俺達が?」
意味がわからないと首を傾げる信に、もしかして番陽さんに嵌まられたんじゃないかと嫌な予感。お酒を飲むと性格が変わってしまう私は、控えるようまわりに注意されているのを、多分番陽さんはどこかでそのことを耳にしたんだろう。
迷惑をかけないよう避けてきたのに、このタイミングで…。自分の意志がしっかりしていれば何も問題はない。
お酒を口にしなければいいだけのこと。
「景気づけに一杯付き合ってくれないか?面子がコイツらでは酒が不味い」
「どういう意味だよ!」
「言葉通りの意味だ。本当は二人きりで飲むつもりだったが、宛が外れた」
透明な液体が注がれた盃を王賁さんに手渡され戸惑う。せっかくの好意を無駄にしてはいけないとは思う反面、お酒の甘い香りが鼻先をくすぐる。
「もしかして酔った後のこと考えてる?心配しなくてもちゃんと介抱もしてあげるし、何なら俺の天幕まで、」
「却下だ。貴様と同じ天幕ではAの身が危険だからな」
「酷いな〜。そう言う王賁だって心の中じゃ何考えてるかわかんないのに」
言い合いを始める二人を横目に、舌先だけ付けてお酒の味を確認。香り同様甘くて飲みやすい。一口とはいけない私は少しずつ口にお酒を流し込んだ。喉を通る熱い液体。唇の端から溢れた滴を指先で拭う私を、じっと信は見つめていた。
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bluemoon(プロフ) - りんさん» はじめまして。返信遅くなり申し訳ありません。私なりの解釈で慶舎を書かせてもらいましたが、お話しを気にいってもらえたのなら嬉しいです。番外編にも登場させたいと思っています。主人公と幸せになってもらいたいので。こちらこそコメントありがとうございました。 (2020年9月4日 22時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
りん - はじめまして。感謝をお伝えしたく書きこみします。キングダムにはまったばかりでしたが、bluemoonさんの小説でキングダムをさらに楽しむことができました!私は慶舎が好きなのですがbluemoonさんの書く慶舎がとても好きです。素敵な小説本当にありがとうございました! (2020年8月21日 13時) (レス) id: 1e1ceb0c12 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、ちぃさんにはリクエストもいただいて、楽しくお話しを書く事ができました。取り敢えず完結と言うことで。また短編が書きたくなったら考えてみようかなと思います。まだ、出してないキャラも沢山いますから笑 (2020年8月13日 9時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 短編おつかれさまでした!どのキャラの話もドキドキして恋しちゃうような素敵な作品ばかりでした!bluemoonさんの作品、本当に大好きです!引き続き本編も楽しみにしています!が!暑い日が続いていますのでご無理なさらず、お体ご自愛くださいね(^^) (2020年8月13日 8時) (レス) id: fe5c27facf (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 猫猫さん» コメントありがとうございます。ですが、この短編は完結となっておりますので、以後リクエストを受け付ける事をしないつもりです。答えられず申し訳ありませんが、ご了承ください。お話しを読んでいただきありがとうございました。 (2020年8月12日 23時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年11月19日 11時