喧嘩の後は。1 桓騎 (ゆうあ様リク) ページ22
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「桓騎様、今回の戦には私も連れて行って下さい」
「お前にまだ早い。マトモに武器も使いこなせてねェだろ」
「それは…自分でもわかってますけど。でも、桓騎様の役に立ちたいんです」
「必要ねェよ。それよりガキは早く寝ろ」
俺の言葉にムッとした表情のAは「子供じゃない…」と反論。その態度がガキっぽいのが、本人にはわかってねェみたいだ。
「来ねェのか?」
「今日は一緒に寝る気分じゃないです…。」
「ふーん、じゃあお前は一人寂しく寝るって言うんだな?それも悪くねェだろ。お前に四六時中付きまとわれて、久しく女を抱いてねェから。出てく次いでに摩論に女の用意させろと伝えてこい」
「自分で行けばいいじゃないですか!」
「フッ、そう目くじら立てんな。俺の誘いを断ったのはお前の方じゃねェか?」
意地悪い俺の質問に、Aは大きな目に涙を浮かべ唇を噛み締めていた。
寝台を共にしても、一度としてAを抱いたことはない。俺から手を出すこともなければ、純粋なAからも俺を誘ったりはしない。ただ、俺の体に寄り添うように側にいるだけ。
何もしなくてもコイツの側は居心地がいい。
体を重ねてもいないのに、心が満たされた気分。
何て言うのは建前で、Aが純粋過ぎて俺がどう扱えばいいのかわかんねェんだ。
「…っ…もういい…!桓騎様なんて知らないっ!!」
「お前のそう言うピーピー喚くとこがガキだって言ってんだ」
「ガキだガキだって…触れてくれないのは、桓騎様の方じゃないですか!いつまでも子供扱いして、私だって何時も――」
「何時も何だよ?」
泣きながら俺に言う文句は一丁前で、Aは顔を真っ赤にして次の言葉を押し黙ってしまった。何故押し黙ったりしたのか、その理由は簡単。
コイツも考えていたことは、俺と同じ。
好いている男女が毎晩のように寝台を共にして、何もないってのも可笑しな話だ。事に俺に限っては、魔論が驚くのも無理はない。まだ手を出してないなんて、我ながら滑稽で。
「なぁ、正直に言ってみろよ。俺にして欲しいこと」
「私は……その…、」
「俺に抱いて欲しいって、言ってみろ」
お前の返答しだいで、今の関係はどうとでもなる。
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bluemoon(プロフ) - りんさん» はじめまして。返信遅くなり申し訳ありません。私なりの解釈で慶舎を書かせてもらいましたが、お話しを気にいってもらえたのなら嬉しいです。番外編にも登場させたいと思っています。主人公と幸せになってもらいたいので。こちらこそコメントありがとうございました。 (2020年9月4日 22時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
りん - はじめまして。感謝をお伝えしたく書きこみします。キングダムにはまったばかりでしたが、bluemoonさんの小説でキングダムをさらに楽しむことができました!私は慶舎が好きなのですがbluemoonさんの書く慶舎がとても好きです。素敵な小説本当にありがとうございました! (2020年8月21日 13時) (レス) id: 1e1ceb0c12 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、ちぃさんにはリクエストもいただいて、楽しくお話しを書く事ができました。取り敢えず完結と言うことで。また短編が書きたくなったら考えてみようかなと思います。まだ、出してないキャラも沢山いますから笑 (2020年8月13日 9時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 短編おつかれさまでした!どのキャラの話もドキドキして恋しちゃうような素敵な作品ばかりでした!bluemoonさんの作品、本当に大好きです!引き続き本編も楽しみにしています!が!暑い日が続いていますのでご無理なさらず、お体ご自愛くださいね(^^) (2020年8月13日 8時) (レス) id: fe5c27facf (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 猫猫さん» コメントありがとうございます。ですが、この短編は完結となっておりますので、以後リクエストを受け付ける事をしないつもりです。答えられず申し訳ありませんが、ご了承ください。お話しを読んでいただきありがとうございました。 (2020年8月12日 23時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年11月19日 11時