境界線。1 那貴 (あお様、くうらげ様リク) ページ16
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「おっ、嬢ちゃんこっち来いよ！」
「ちょ、止めて下さいっ！」
「反応がたまんねェ。顔赤くして、男に抱かれたことねェんだろ？」
酒臭い息が首もとにかかり、腰に回された腕に「離して下さい」と私は男を睨み付けた。私の抵抗もむなしく男は全く止める気配はなく、背後から覆い被さるようにがっちり拘束された私は、唇を噛み締める。
「おい、誰の許可なく俺の女に手を出してる。殺されてェのか？」
「な、那貴！？テメェは今日お頭の用事で帰って来ないはずじゃ…、」
「用なら済ませた。わかったら二度とAに触れるな。そして今すぐに消え失せろ。俺の気が変わらないうちに」
那貴さんに睨まれた男が舌打ちを一つ、抱き締めていた私の体を離した。
その場にしゃがみこんだ私に差し出された手。見上げれば少し困ったような表情をしていた那貴さんが、「一人にさせて悪かった…。」と謝ってくれて。
「どうして那貴さんが謝るんですか…？」
「お前に怖い思いをさせたから。こういうことは初めてじゃねェんだろ？ここは無法者の集まる集団。隙あらばお前に手を出そうとする輩が後をたたねェ。わかってるのに…駄目だな俺は。Aと離れたくねェばかりに、こんなとこまでお前を連れてきて…。」
「そんなこと…、私は自分の意思でここに来たんです。那貴さんの側を離れたくなかったから――」
最後まで言えなかった言葉は、抱き締められた那貴さんの胸の中で消えた。抱き締めてくる力は強いのに、腰に添えらえた手は優しい。ドキドキと高鳴る鼓動が那貴さんに聞こえてしまいそう。それと同時に…今日こそはと淡い期待。
恋人同士だと公に言っていても、那貴さんは抱き締めてくれる以上のことはしてくれた事がない。
「あ、あの…、」
「……あまり外を彷徨くな。わかったら自分の天幕に戻れ」
素っ気ない那貴さんの態度に、一瞬で気持ちは萎む。
離れていった温もりが恋しい。
その手を掴んでもっと触れてとねだりたい。
でも私には甘える事が出来なくて、那貴さんの言葉に素直に従う。そうすれば「いい子だな」と那貴さんが喜んでくれるから。
困らせて嫌われたくない。
だから無理にでも笑って歩き出す。
「A……何故、泣いている？」
「っ……泣いてませんっ」
背を向けて歩き出す私の手を、待てと引き留めた那貴さんはため息を一つ。
「俺の天幕に来い」と私に告げた。
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bluemoon(プロフ) - りんさん» はじめまして。返信遅くなり申し訳ありません。私なりの解釈で慶舎を書かせてもらいましたが、お話しを気にいってもらえたのなら嬉しいです。番外編にも登場させたいと思っています。主人公と幸せになってもらいたいので。こちらこそコメントありがとうございました。 (2020年9月4日 22時) (
レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
りん - はじめまして。感謝をお伝えしたく書きこみします。キングダムにはまったばかりでしたが、bluemoonさんの小説でキングダムをさらに楽しむことができました！私は慶舎が好きなのですがbluemoonさんの書く慶舎がとても好きです。素敵な小説本当にありがとうございました！ (2020年8月21日 13時) (レス) id: 1e1ceb0c12 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、ちぃさんにはリクエストもいただいて、楽しくお話しを書く事ができました。取り敢えず完結と言うことで。また短編が書きたくなったら考えてみようかなと思います。まだ、出してないキャラも沢山いますから笑 (2020年8月13日 9時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 短編おつかれさまでした！どのキャラの話もドキドキして恋しちゃうような素敵な作品ばかりでした！bluemoonさんの作品、本当に大好きです！引き続き本編も楽しみにしています！が！暑い日が続いていますのでご無理なさらず、お体ご自愛くださいね(^^) (2020年8月13日 8時) (レス) id: fe5c27facf (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 猫猫さん» コメントありがとうございます。ですが、この短編は完結となっておりますので、以後リクエストを受け付ける事をしないつもりです。答えられず申し訳ありませんが、ご了承ください。お話しを読んでいただきありがとうございました。 (2020年8月12日 23時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年11月19日 11時
