構って欲しくて。2 ページ13
.
買い物を終え、真っ先に向かったのは李牧さんの部屋。早く会いたくて走って乱れた息を整え、扉をノックしてから開けた。
部屋は薄暗く寝台に横になっている李牧さんに近づき、「今日はごめんなさい…。」と呟いた。離れていた間の事をもっと話したかった。触れて、もっと愛して欲しかった。
でも、私と違い戦場に身を置く李牧さんに心休まる時間をあげたい。私の我が儘に付き合わせることはできない。
だから……。
「ゆっくり休んで下さい」と頬にキスを落とし唇を離そうとすれば、腕を掴まれ抱き寄せられた。
「…っ…寝ていたんじゃ――」
「Aに何もせずに寝れる訳がありません。それよりも、何故黙っていたんですか?市に出掛けていたのは私の為だったと」
「どうしてそれを、」
「カイネが私に話してくれました。私の身を案じ、護符を買いに行っていたのだと。直接渡したくて、私がいる間に手渡そうとしていたと。初めから話していたくれたなら、こんなにも嫉妬することはなかったのに。それとも、私を嫉妬させたくてわざとですか?」
「そんなことは…、」
いいかけた言葉は口づけで遮られた。軽く下唇を噛まれ、開いた口に熱い舌がゆっくりと口内へと侵入してくる。久しぶりの感触、気持ちを高ぶらせる舌の動き。
「…んっ……ふぁ…っ」
「A、私の首に腕を回して下さい」
「り…ぼく…さん…」
「貴女の吐息一つも愛しい。溢れぬように私の口で塞いであげたい」
言われたように李牧さんの首に腕を回せば、浮いた私の腰を強く李牧さんが抱き締めた。隙間なく合わさった唇。
息苦しいのに、凄く気持ちよくて。
「離れていた間を思い構ってあげようとしてたんですが、まさか自分がAに構ってもらえない事に拗ねるとは…。冷静沈着な私も恋人である貴女の前では、自分の気持ちを隠すことはできないみたいです。こんな所、カイネや傅抵には見せられませんね」
私の髪を撫でる李牧さんは、優しい笑みを浮かべていた。
「寂しい思いをさせていた分、埋め合わせはしっかりさせてもらいます。今日は寝る暇もないほど、私の体に溺れて下さい」
温厚な言葉とは裏腹に、自分の体が明日はどうなっているのか…。
少しの不安と、愛される幸せ。
意地悪は好きの裏返し。1 輪虎 (とりけらとぷす様リク)→←構って欲しくて。1 李牧 (ちぃ様リク)
242人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
bluemoon(プロフ) - りんさん» はじめまして。返信遅くなり申し訳ありません。私なりの解釈で慶舎を書かせてもらいましたが、お話しを気にいってもらえたのなら嬉しいです。番外編にも登場させたいと思っています。主人公と幸せになってもらいたいので。こちらこそコメントありがとうございました。 (2020年9月4日 22時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
りん - はじめまして。感謝をお伝えしたく書きこみします。キングダムにはまったばかりでしたが、bluemoonさんの小説でキングダムをさらに楽しむことができました!私は慶舎が好きなのですがbluemoonさんの書く慶舎がとても好きです。素敵な小説本当にありがとうございました! (2020年8月21日 13時) (レス) id: 1e1ceb0c12 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、ちぃさんにはリクエストもいただいて、楽しくお話しを書く事ができました。取り敢えず完結と言うことで。また短編が書きたくなったら考えてみようかなと思います。まだ、出してないキャラも沢山いますから笑 (2020年8月13日 9時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 短編おつかれさまでした!どのキャラの話もドキドキして恋しちゃうような素敵な作品ばかりでした!bluemoonさんの作品、本当に大好きです!引き続き本編も楽しみにしています!が!暑い日が続いていますのでご無理なさらず、お体ご自愛くださいね(^^) (2020年8月13日 8時) (レス) id: fe5c27facf (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 猫猫さん» コメントありがとうございます。ですが、この短編は完結となっておりますので、以後リクエストを受け付ける事をしないつもりです。答えられず申し訳ありませんが、ご了承ください。お話しを読んでいただきありがとうございました。 (2020年8月12日 23時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:bluemoon | 作成日時:2019年11月19日 11時