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166.貴女は私の全て。2 王騎side ページ23

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「私が父上を守ります!何があっても守ります!」

「A…。」

「守ってみせます…!」


乱暴に目元を拭い、Aは私の背に腕を回して抱き寄せてくれる。


「これでは、どちらが大人か分かりませんねェ。幼く可愛いらしい子供だと思っていましたが、貴女は私よりもずっと大人だ」


Aの首もとに顔を埋め、甘い香りに癒されては魅了される。

初めて会った時はか弱く守るべき対象だった貴女が、私を守ってくれると言う。

手元に置いておきたいと思っているのは自分だけだと、勝手な解釈をして遠ざけた。

だがAは自らの意志で私の元に戻ってきた。


「父上…私の幸せを本当に望んでくれるなら、もう二度と私を手放したりしないで…、」

「A…良いのです、」


後悔しないのかと聞き返そうとする私の唇に、柔らかく温かな感触。

Aからの初めての口づけ。

一度離れ、じっと私の目を見てAは微笑む。
その笑みが見惚れるぐらい綺麗で、沸き上がるのは欲しいという欲望。

チュッ…とわざとらしいリップ音を立て、啄むような口づけが何度も。触れてはすぐ離れ、また私の目を見ては微笑む。

いつもと全く逆だ。
焦らされては、どうして欲しいと翻弄される。


「A、もっと深く…、」


離れていく唇を追いかけようとすると、Aは私の唇にダメ…と人差し指を押し当てた。


「父上、これ以上は"お預け"です」

「ンフ。もしかして、昨日の仕返しですかァ?」

「いえ……そう言う訳では」

「では、何故です?」

「それは…、」


白い頬を赤くして言葉を濁すAが指差す先には、騰に他の副官達の姿。


「見せつけてやればいいんです。さぁ、続きを…、」

「殿、皆が出陣の合図を待っていますが」

「……仕方ないですねェ。文字通りお預けになってしまいましたが、この代償は高くつきますよ。A、覚えておいて下さい」

「はい…。」


恥ずかしそうに私の胸に顔を隠すAは、小さく頷いた。


子供だと思えば急に大人の顔になり、Aは私に色んな表情を見せてくれる。

その全てが、私にとって愛しい。

167.開戦。→←165.貴女は私の全て。1 王騎side



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caho(プロフ) - このような最高の作品を生み出してくれて本当にありがとうございます!!王騎将軍と騰将軍が大好きなので嬉しいです!騰との夢小説も読みたいです!成人済みですので大人向けめちゃくちゃ需要あります!!!書いていただけると嬉しいです!! (2022年10月13日 1時) (レス) @page36 id: 7b5b48dd3d (このIDを非表示/違反報告)
青蘭 - 初めまして。作品楽しく拝見させていただいております!王騎将軍押しなので救済ルート楽しみにしています!また5以降のパスワードを教えていただくことは出来ますか? (2022年8月6日 11時) (レス) id: 01e5ca7667 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - manaさん» mana様初めまして。作品を読んで頂いてありがとうございます。この小説のオチは政に決まりましたので、引き続き読んで頂ければ幸いです。コメントありがとうございますね。 (2022年6月27日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
mana(プロフ) - 初めまして!最近小説を読ませて頂きました。ものすごく引き込まれてドキドキしっぱなしで、最高の小説に出会えて感謝しております(;o;)私は政推しなんですが、4以降が今パスワードがかかっているので、続きが見たくウズウズしてます笑 楽しみにしてます‼︎ (2022年6月26日 23時) (レス) @page49 id: 1660ce1fd8 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - あいさん» とうとうその時が来たね…。私も書きながら切なくなってるよ…。今まで先伸ばしにしてきたけど、やっぱり避けては通れない展開かと。続編も頑張るよ!あいさんも体調に気をつけてね!私も応援してる(#^.^#) (2019年10月3日 22時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年7月21日 8時

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