132.敵か味方か。 ページ34
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「…無理させてごめんね」
川辺で水を飲んでいる馬の頭を撫で、私は深いため息を吐いた。
逃げるように秦の首都咸陽を飛び出して来たのはいいが、父上の屋敷がどこにあるのか知らない事に気づいても、もう引き返す事は出来ない。今までは御車で移動していたから道案内もいたけど。今は一人きり。
政の許可はもらっていると嘘をつき馬を借りた。
それに、信や貂に別れを告げずに出てきてしまった。
政と顔を合わせて平然とした態度が私には出来そうにないから。
行為の間中何度も政は私の名前を呼んでいた。父上とはまた違った体験。乱暴にしたかと思えば、優しく触れてきて、吐息混じりに囁く声は甘いのにどこか切なさも感じて。
「…何考えてるのよ」
昨日の政との事を忘れようと痛む腰をさすりながら、馬に跨がった。御車から見えていた場所を記憶を頼りに馬を走らせ、道中で誰かに会えば聞いてもいい。父上の屋敷なら誰かは知っているだろう。
「…！？」
何かが起きたと思った瞬間、体が宙に浮いた。苦痛に嘶き、その場に倒れる馬体。スピードに乗っていた馬から投げ出された私は、迫りくる地面との衝突を少しでも和らげようと受け身をとるが…。
ボキッと不快な音。
右足に走る激痛。
叩きつけられた衝撃は一瞬呼吸を忘れてしまうほど。
「お頭、オギコの奴がまた勝手に弓放ちやがった」
「勝手に違うっっっ！！オギコお頭に許可もらったっ！！」
複数の足音。
複数の男の声。
ザッザッと森を掻き分けてこちらに近づいてくる。逃げろと本能が告げても、体が動かない。
「的は馬かよ。まぁ、いつもを知ってる分オギコにしては上出来か」
女の人の声……。
でも敵か味方かわからない以上、不用意に助けを求めるのは危険。
痛みで自然と溢れてくる涙。
私の存在に気づかず、早く行ってほしい。
「女もいたのか」
「お頭？今、女と言いましたか？」
お頭と呼ばれた男は私の目の前まで来ると、冷たい眼差しで倒れている私をじっと見下ろした。
「ガキの女には興味ねェが。痛みで苦悶の表情を浮かべる姿にはそそられるもんがある。摩論、この女を連れていけ」
「承知しました。すいませんがお嬢さん、お頭の命は絶対なんです」
紳士的な口調で私の体を抱き上げた男性。そもそも満足に体を動かせない私に、拒否権なんてなかった。
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bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (
レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか？すごく面白くて一気読みしてしまいました！ (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ！体調大丈夫ですか？心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています！ゆっくり休んでくださいね！ (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます！更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年6月9日 7時
