123.危機感ゼロ。 ページ25
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政の命が危ないってどういうこと…。
王宮からの使者が急を告げ、信を呼びに来た。
「はぁ…はぁ…っ」
お前は先に行ってろと、王宮内の抜け道を走り政の元へ急ぐ。父上のお城に行くまで王宮内で過ごした経験が活かされているのか、政の部屋までの道程は覚えている。刺客達よりは有利だ。
部屋までたどり着く間に、何人も無残な亡骸を見た。政に関わりのある人物達が次々と襲われたと聞かされれば、気持ちも焦る。
別行動している信や貂は…。
政の扉の前。
呼吸を整え、柄に手を伸ばした瞬間。
バンッ――!!
勢いよく扉が開いて、中から飛び出してきたのは人。突然の行動に驚いた私が後ろへと尻餅をつきそうになるのを、寸でのとこで手を掴まれ抱きしめられた。
「え、」
「お前がここにいるとは予想もしていなかった。俺はまだ夢を見ているのか…。」
「政?」
隙間なく私の体をきつく抱きしめてくる政は、「会いたかった」と呟きその端正な顔を近づけてくる。
「あ、あの大王様…そのお方は?」
部屋の中から様子を伺っていた少女が、唇に触れる一歩手前で声をかけてきた。
「名前はAだ。前に話した事があっただろう?」
「では、このお方が大王様の后に一番近い方…。大王様のお子を産む為だけに集められた私達とは違い、大王様の寵愛を受けられるお方…。」
「どういう、」
「どういうとは、A。冷たい言い方をするな。離れている間に、何度も重ねた俺の唇を忘れたか?」
止まっていた時が動き出したように、唇に触れる柔らかい感触。舌先で唇をこじ開けて侵入してくる政の舌に、抵抗しようと胸を押すがびくともしない。
「…っ…大王様…。」
見ていられないと私達から目を逸らす少女。
この時間に政の部屋から出てきたのは、彼女はもしかして…。
「おい、政!お前なにして、」
「信…か」
「冷静に名前呼んでんじゃねェ!いいから、Aを離せ!」
「断ると言ったら?」
「二人ともいい加減にしろよ!なにノンキに話なんかしてんだよ!すぐそこまで刺客が迫ってんのに!!」
貂は声をあらげ、私の腰に手を回している政に近づくと「Aを離せ」と詰め寄った。
124.脱出への手段。→←122.唇を重ねたら。 信side
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bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか?すごく面白くて一気読みしてしまいました! (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ!体調大丈夫ですか?心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています!ゆっくり休んでくださいね! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます!更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年6月9日 7時