101.甘言。 ページ3
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「Aはこの世界の人間ではなく。先ほど話していた男…時の神様と言う者に現代から飛ばされた来たと?」
「そうです…。」
ほぼ日課となりつつある私の髪を櫛でとかしていた父上が、私の告げた話の内容に手を止めた。
この世界に来たのは不運にも時の神様の時間旅行に巻き込まれたため。そこで信達と出会ったこと。生きる為に神様から授けられた魅了の力(これは前に父上に話した)。そして、さっき第二の力となるモノを授かったこと。第二の力に関しては、どんなモノか私にもまだわからない。
「いずれ元の世界に帰してくれると言われたんですよねェ?」
「それが何時になるかわからないですけど…。」
「これから先何年続くか。それとも突然明日になってしまうか」
「明日…?」
父上に指摘されて気づく。私が現代に帰れるのは時の神様しだい。勝手にまだ先の話だと思っていたけど。
そうだよね…神様がこの世界と現代の時間軸を見つけてくれたら、私は帰らないといけない。そう望んでいたはず。
それでよかったはず。
「A…今さら貴女なしでどう私に生きれと?」
首もとに熱い吐息がかかって、父上の長い髪が私の頬を撫でる。後ろから逞しい腕に抱きしめられ、小さな私の体はすっぽりと父上の体におさまってしまった。背中越しに伝わる父上の鼓動は速い。
「父上?」
「貴女に触れるだけで、私の鼓動は速く高鳴り。まるで初めて恋を知ったような感覚になります。正直、自分がこの年になっても恋などという感情に振り回されると思いもしませんでした」
「え、」
「どうやら私は貴女を…Aを」
「私を…?」
「………いえ、今はまだ時期尚早。この話はもう少し、目の前の戦が落ち着いたらゆっくりと話をしましょう」
「目の前の?」
「魏国を攻めるために歩兵の募集が始まったみたいですよ。これから本格的に戦が始まるみたいです」
「戦が…。あの父上、」
「その提案は認めません。貴女の事です。王を助けたいと戦場に行くつもりのようですが」
完全にバレてる。でも、政の助けになりたくて今まで鍛錬してきた。私もここでひく事はできない。
父上が私に甘い事は知っている。
なら、そこを狙うのみ。
「父上…私と一つ賭けをしませんか?」
「賭け…ですか?」
父上の耳元にそっと唇を寄せ甘く囁いた言葉に、私を抱き締めていた父上の力がよりいっそう強くなった。
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bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか?すごく面白くて一気読みしてしまいました! (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ!体調大丈夫ですか?心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています!ゆっくり休んでくださいね! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます!更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年6月9日 7時