336.手の内は最後に。 李牧side ページ49
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欲しい流れが一向に来ない。全てを出し尽くし、兵を送り込んでも欲しい報告は未だに耳に届いて来ず、聞こえるのは秦軍の活気付く喚声。
秦王は瀕死の重傷を負ったと報告を受けた。
では、この兵達の喚声は一体なんだ…。
「李牧様…中では一体何が…?」
「わかりません。兵を総動員させ攻撃を仕掛けていますが…この喚声が不気味ですね…。」
別行動をさせているカイネと傅低を送り込んではと、側にいる兵の言葉に首を振った。前の攻撃で負傷した怪我が完治していないカイネ達を送り込むのは危険だ。
この中で「何か」が起こっているなら尚更。
ここまで先の読めない展開になるとは…。
二日前に到着した列国の援軍を投入したところで、連携など取れず余計に混乱を招くだけ。
疲弊した秦兵に比べ、こちらの兵は夜襲と昼間のニ部隊を分けて攻撃をしている。尚且つこの蕞には兵の増援はおろか、援軍も来ない状況。兵を入れ替えて戦う我々に対して、秦軍は今いる兵で戦うしかない。
ただの民兵の集まり。
それを、一瞬にして戦う兵へと仕上げた。
「玉座に座る飾りとは…私は秦王を侮っていたのかもしれません…。」
同盟を結ぶ為に秦国を訪れた際には、王を前にしてもそれほど脅威は感じなかった。大人達の手駒にされいいように扱われるのがおちだと、若い王を見て不憫にも思ったほどだ。
まぁ…Aを巡っては、私に食ってかかってきましたが。
人の成長は、環境にも左右される。幾つもの過酷な状況が少年を、王とするべく試練を与えたのならその全てを吸収し、私を阻む大きな壁へとなった。
飛信隊の信という少年も。
「貴女と私を阻む障害は容易く壊れそうにありませんね…。」
「李牧様?」
「なんでもありません…。」
このまま勢い付かせてはいけない。
秦王の存在がそうさせているなら、こちらとしても新たな手を打つのみ。
人の道が何たるかと、戦に興味などなかった者が私の後ろで動き出そうとしている。飛信隊にとって、秦国にとって、その者の存在は忘れる事などないだろう。
A…貴女にとっても。
愛すべき人の命を目の前で奪った宿敵がここに来ているとは、今はまだ知らない。
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bluemoon(プロフ) - イルカさん» コメントありがとうございます。推しが同じ読者様に会えて嬉しいです。花嫁本編では王騎将軍の救済ルートを避けてしまったので、中編集で幸せになっていただきたいと思います。王騎将軍とのお話久しぶりに書く気がします。まずは花嫁8ですね。頑張ります! (2020年12月27日 8時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
イルカ - 私は王騎将軍オシなのですっごく楽しみです!!シリーズ8も楽しみにしてます。 (2020年12月26日 23時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ノンさん» テストお疲れ様でした。アニメ楽しみですね!どんな声優さんが演じてくれるのか、情報を解禁されるのもワクワクしますね。私ももう少しでお仕事が長いお休みに入るので、更新頑張ります!作品に遊びに来ていただいてありがとうございます。 (2020年12月21日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
ノン - 執筆活動お疲れ様です!!無事にテストが終わりゆっくりできる時間が出来たので小説を読みに来ました!これからの展開が楽しみです!春にはキングダムのアニメ3期も再開されるので今からキングダム熱を上げています笑笑 (2020年12月21日 17時) (レス) id: a804f7d386 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Tomoyoさん» お久しぶりです。三連休ですか、いいですね。明日から私はまた仕事です…。時間を見つけてこれから更新頑張りたいと思います!コメントありがとうございます。 (2020年11月22日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2020年6月20日 15時