38.あの日の出来事。 ページ38
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「Aも無事でよかった」
「はい。昌文君さんも」
温かいスープを手渡すと、「少し見ない間に逞しくなったな」と笑われる。
そう言われても自分では全然実感がない。だとしたら、この数日過酷な山道を体験したことで鍛えられたものがあったのかも。
「殿。この少女は…？」
「王の召使いとして漂と同じく宮中に連れてきた。名をAと言う」
「漂殿と…。私は壁と申す」
「あ、Aです」
頭を下げられた壁さんに、私も慌てて頭を下げる。
「それにしても君は、随分と大王様と親しいんだな。召使いと言うより、友のような。いや、友と呼ぶよりはもっと、」
「Aはいずれ俺の正室になる。壁、他の者達もAに失礼のないようにしろ」
賑やかだった食事場が、水を打ったように静かになった。集まる皆の視線から守るように私の前に信が立ち塞がる。
「政、ふざけんじゃねェ！！何が正室だ！Aは俺の、」
「では、話しを聞こうか。今度の脱出劇なぜ失敗したのだ？」
信の言葉を最後まで聞くことなく、政は昌文君さんを見た。張り詰めた空気が流れ、昌文君さんが重い口を開く。
「城外までの脱出は首尾よく進んだのですが、外で思わぬ敵の待ち伏せにあいました」
「誰だ？」
「王騎将軍です…。」
王騎将軍…？
昌文君さんの青ざめた表情から、その人が只者ではない様子。
六大将軍の一人、王騎。生涯を領土戦争に捧げた昭王(政の祖祖父)の時代に、戦場で猛威を奮った武将。昭王に心酔し、昭王亡き後は戦場を離脱した。隠居したと思われていたが、何を思ったのか此度の争いである呂竭の戦いに参戦したきた。
"熱き血潮渦巻く戦いを求めて！！"
王騎の言葉に戦慄が走った。得体の知れない男。
こんな男を相手にしていては、命が幾つあっても足りない。
伏兵を潜ませている場所まで王騎を上手く誘い出したと思った。だが、奴も幾多の戦場をくぐり抜けた猛者。今まで潜んでいた王騎軍に兵を囲まれ、不覚にも王騎の一撃を受け崖から転落した。
「幸い…下に川があり何とか私は助かったんですが…。」
「ちょっと待てよ！漂はその後どうなったんだよ！？」
項垂れる昌文君さんに信が詰め寄った。
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ノア - 初めまして、この作品の王騎様と夢主の絡みが好きで毎月読み返しておりました。読み手に戻られることを考えていらっしゃるとお伺いしましたが是非とも見れる形に残しては頂けないでしょうか。毎回癒されながら拝見させていただいておりました。 (2022年8月3日 21時) (
レス) id: c471de6204 (このIDを非表示/違反報告)
( ´ω` )/(プロフ) - おもしろかったです。続きは見れないんですか？ (2022年7月31日 9時) (レス) id: 16f8a40083 (このIDを非表示/違反報告)
i05x09(プロフ) - 突然すみません。とても面白くて読み進めていたのですが、続きはもう読めないのでしょうか…？ (2022年7月30日 19時) (レス) id: a85be77842 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 凌さん» 160�兪宛紊塙佑┐討�話し書いています。ですが、読者様のお好きな設定で読んでいただければ。コメントありがとうございます。 (2020年7月4日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
凌 - 主人公の身長はどのくらいですか？ (2020年7月4日 7時) (レス) id: 0f75895f1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年4月28日 0時
