18.油断。 ページ18
.
「ここは…？」
「黒卑村だ。物盗りや人殺しが全土から流れて来る無法者達の村」
「そんな危険な場所で何を？」
「この先に王室縁の避暑地がある。そこで昌文君達と合流する手筈だ」
「じゃあ、そこに向かえば漂もいるんですね？」
「恐らく…な」
よかった…別れ間際に顔も合わせられなかったから。
漂には昌文君さんも大勢の兵も付いてる。大将軍になる夢の為、漂も腕を磨いてきた。
きっと大丈夫…。
今は、皆の無事だけを祈っていよう。
「少し疲れた。お前も休むといい」
「その前に…水浴びしてきてもいいですか？」
長い地下通路を抜けて、汗ばんだ体。身につけている服が肌に張り付いて気持ち悪い。
それに隣通しで横になる以上
私も女だし…。
「構わないが、余り遠くに行くな。さっきも言ったが、ここは無法者達の村。中心から離れて比較的安全な場所だが。ヤツらがどこに潜んでいるかわからないからな」
「わかりました」
大王様はそう言うと、古びた小屋へと入って行った。
一国の王である立場からは似つかわしくない建物。まさか、こんな所に王がいるとは想像もしないだろう。これも敵の目を欺く為のモノなのだろうか。
「…冷たっ。でも、気持ちいい」
小屋から少し離れた川辺。
有りがたいことに、遠くまで行かなくても小屋と川の距離は目と鼻の先。危険な場所だと言われても、ここなら何かあれば助けを呼べる。
川に手を入れて冷たさの確認。入れないほどではない。身につけている服を脱ぎそれを畳むと、ゆっくり足先から水に浸かっていく。腰部分まで入水した時、じゃりと小石を踏む音が背後から聞こえてきた。
「へへっ、こんな所に女がいるとはな。今日はついてるぜ」
「綺麗な体晒して、煽ってるのか？」
「っ…！」
振り向くと大柄な男達が数人。私の逃げ場を無くすように周りを囲っていた。
「ほら、こっち来いよ！可愛がってやるから」
「やっ、止めて…！！」
「止めてだってよ。初々しくてますますそそられるな」
バシャバシャと水をかき分け一人の男が私の腕を掴みにかかって来る。
怖い…誰か…助けてっ！！
「震えちゃって、なんにも心配すること、」
「おい。汚らわしい手でそいつに触れるな」
聞こえてきた大王様の声に、涙が溢れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1258人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノア - 初めまして、この作品の王騎様と夢主の絡みが好きで毎月読み返しておりました。読み手に戻られることを考えていらっしゃるとお伺いしましたが是非とも見れる形に残しては頂けないでしょうか。毎回癒されながら拝見させていただいておりました。 (2022年8月3日 21時) (
レス) id: c471de6204 (このIDを非表示/違反報告)
( ´ω` )/(プロフ) - おもしろかったです。続きは見れないんですか？ (2022年7月31日 9時) (レス) id: 16f8a40083 (このIDを非表示/違反報告)
i05x09(プロフ) - 突然すみません。とても面白くて読み進めていたのですが、続きはもう読めないのでしょうか…？ (2022年7月30日 19時) (レス) id: a85be77842 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 凌さん» 160�兪宛紊塙佑┐討�話し書いています。ですが、読者様のお好きな設定で読んでいただければ。コメントありがとうございます。 (2020年7月4日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
凌 - 主人公の身長はどのくらいですか？ (2020年7月4日 7時) (レス) id: 0f75895f1e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年4月28日 0時
